DVD+ブック マルクス・エンゲルス ()

制作 : 岩佐茂 
  • 大月書店 (2018年12月17日発売)
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感想 : 2
5

本の方では無くて映画の感想

この映画のDVDを見てまず思い起こしたのがミロス・フォアマン監督の「アマデウス」だった。

「楽聖」と言われるこの人は小難しいオヤジでは無くて、今でいうコンテンポラリーミュージックの人の様な、軽いノリの人だった。

恐らくその解釈は正しいと思う。かのバッハですら、神聖な教会のオルガン席に若い女の子を連れ込んでいた。

経済学の神様(の一人)と言われるマルクスも相棒のエンゲルスも普通に「えっち」する普通の青年として描かれていて、若い人達から見ると等身大のマルエンとなるだろう。

ただショッキングだったのは冒頭部分、当時のドイツ、森で地面に落ちた小枝を拾うだけで、私有物である森からの窃盗とされ、騎馬警官にその場で問答無用にサーベルで切り殺される事だった。ロシア革命を描いた旧ソ連の映画「母」も少し後だが、そんな時代を描いていた。

欧州は今でこそ民主主義を得意げに言っているが、当時、チョンマゲを結っていた徳川圧政の日本と大差ない恐怖政治だったのだ。

マルエンだけでなく、彼等の奥さんや愛人の立派な活躍も描かれている。ただ集会で標語のプラカードをパッと掲げる表現はチト。

さて、少し真面目に?考えると面白いのは、資本主義の運動方程式を導き出し、その末路を予言したのはマルクスであったが、その協力者というより共著者のエンゲルスはそれこそ筋金入りのお坊ちゃまで、大資本家のご子息。

宮崎駿監督の「名探偵ホームズ」「ねらわれた巨大貯金箱」に出て来る大資本家ギルモア氏の令息マイケル君がエンゲルスの少年時代に近いのかなと思ったり。

機械文明と資本主義と経済学の発祥の地はかの英国。
ここの「近代経済学」を発展的におちょくったのがマルクス主義経済学*であり、資本主義の墓掘り人の片割れが何と大資本家であったのだ。オモシロイ。

科学的社会主義の「3つの源泉、3つの構成部分」を調べましょう。
池田理代子の漫画「ベルばら」も楽しくなるかも。


*但し搾取の本質を突いた「剰余価値」の発見は発展的どころかそれこそ革命的であり、後の「それ風」を装った俗流学説は到達出来ない、いわばこの学問の根幹である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月15日
読了日 : -
本棚登録日 : 2022年7月15日

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