これまで読んださくらももこさんの話とはどことなく違っているなぁ…と思っていたが、あとがきを読んでやっと分かった。子供の頃の繊細な記憶を中心に描かれており、私も自身の子どもの頃に悩んだことと結びつけて何ともいえない気持ちになった。しかし、それはあとがきに書かれていた「人間の根源的な部分への帰還」を思い出した瞬間だったように思う。
『大規模な心配』のような漠然としたどうしようもない不安、『盗んだビーズ』『大失敗』『上松くんのランドセル』『松永くんをぶった』のように小さな頃の人間関係の中で自分がしてしまったことは、大きくなった今でも忘れがたい。一方で『乳母車から見た景色』のようにキラキラした日常の思い出や、『古い顕微鏡』の大発見も心に残る大切な記憶である。
ももこさんはとても繊細で、感受性が豊かで、それでいて一歩引いたところから見る子どもだったのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年12月9日
- 読了日 : 2023年12月9日
- 本棚登録日 : 2023年12月9日
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