フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2006年5月30日発売)
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「社会人になったら数学なんて使わないし、計算はAIがするから、数学の勉強の意味がない」と思っている人に、是非読んでもらいたいです。

本書では、名だたる数学者たちが300年以上かけ、フェルマーの最終定理を証明しようとした数学の歴史が学べます。

実社会で役に立つ数学としては、物理への応用の他に、ゲーム理論の経済行動/エニグマ暗号(戦争利用)/天文学(オイラー法)等があります。
本書のテーマの「フェルマーの最終定理」は実社会ではあまり役に立たない純粋数学数論の分野らしく、パズルを解いた時の好奇心を原動力として数学者達が挑んだそうです。
「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」、慶應の塾長であった小泉信三氏の言葉を思い出しました。

個人的に、フランスの女性数学者のソフィー・ジェルマンが章が良かったです。
当時の女性は数学を学べる環境が整っていなかったが、環境に悲観せず、学ぶことを諦めない彼女の知的好奇心の強さに感銘を受けました。ガウスとの文通のやり取りも、お互いを尊敬している内容で素敵でした。
エッフェル塔の建設の際、彼女の「弾性板の振動に関する研究(近代の弾性理論の基礎)」が役立ったそうです。今後、エッフェル塔を見る度に、ソフィー・ジェルマンを思い出しそうです。

本書は翻訳本ですが、非常に読みやすい文章でした。変な翻訳だと、読み進める際に「?」となることがあるが、理系である青木氏が翻訳されたおかげで、数学の説明がわかりやすかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 知育・教育
感想投稿日 : 2021年12月13日
読了日 : 2021年12月5日
本棚登録日 : 2021年7月14日

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