第11回このミス大賞受賞作だが、ミステリというよりはフィクションが多くSF的なエンタテインメント作品として読めた。読ませる構成力は力強く、分厚いページも24Hのように切り替わるシーンが続き、次は?と読み進んでしまう。
ただ、やはり気になるのは既存の同素材の扱い方。特に最初から最後まで「The Hot Zone」の構成そのもの。人類の自然界進出により未知のウィルスとの遭遇、宿主はどこだとの探索、止まらないパンデミックに最後の手段として気化爆弾の登場と奇跡的な回避。「The Hot Zone」そのもの。これには途中考えてしまいました。
ウィルスの人間への感染ではなく、寄生生物の変異と人間への攻撃をもってきたところはアイディアなのだが、現実にありえない関係で、これはやはりミステリではなくSFかな?と思ってしまいました。
神の啓示的要素の加え方も、あまり本編の流れに力強さを与えない。未知のウィルスによるパンデミックという素材をもう少しリアリティーのある構成にできなかったのか。
それにしても、現在アフリカで猛威を振るっているエボラ出血熱。「The Hot Zone」の題材そのものであるが、まだ治療法も確立しない状況で、医師も2次感染で倒れてしまっている。これこそ恐ろしいリアリティーだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2014年8月10日
- 読了日 : 2014年8月10日
- 本棚登録日 : 2014年8月10日
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