帝王の殻 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-16)

著者 :
  • 早川書房 (1995年9月1日発売)
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本棚登録 : 478
感想 : 34
4

まずどうでもいいことから。
登場人物の名前が難読というか、何人かの読み方がなかなか覚えられず、何度も前に戻った。三部作の1作目もそうだったかな。

筋立て・設定は面白いし、一つ間違えばこれに近いことは将来起こりうる気もする。
釈然としない部分も残るし(なんで日本人しか出てこないのか?とか、競合企業はなかったのか?とか)小説としてもう少し練れたものにできたのではとも思うけど、それは大した問題ではないという気にさせる、テーマの大きさ。

自己とは何か。
言語によって育てられていく、副脳としてのPAB。それとの会話で顕在化する、疑似的な自己との対話。それを宗教に近い次元にまで推し進めること。創始者の意図から離れて暴走する、させる人達の存在。
重いテーマに正面から取り組んだSFと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2019年7月21日
読了日 : 2019年7月20日
本棚登録日 : 2019年7月21日

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