マグマ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2009年8月22日発売)
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「マグマ」真山仁さん

1.2021年の今
スターバックス。店舗電力を再生エネルギーへ。

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-4077.php

2.マグマ=再生エネルギーの物語
真山さんの執筆は2005年です。
東日本大震災よりも前に執筆しています。
内容は、原子力中心の電力供給と、中々発展しない再生エネルギーの現状と課題です。
小説は「地熱電力」を中軸に据えて展開します。
執筆から15年の月日を数えて、1.の流れに行き着いているというのも現実です。

3.地熱電力の課題とは?
小説より
①電源=マグマに辿りつくまでの時間と投資金額。
②売買価格が高い。
※①のため、消費側の負担額が原子力と比較して高い。
③マグマの在り処=国管轄自然公園下
※自然保護を理由に開発が進めづらい。

4.地熱電力を買い取りした「ハゲタカ」の戦略とは?
電力業界の規制/ルールを破壊します。
その戦術として、ハゲタカのグローバルネットワークを駆使します。
①先進国のエネルギー談話会議における日本政府への圧力
②環境系ファンドの日本企業への電力供給元の見直しの示唆。

5.真山さんの小説の面白さ
ハゲタカの視点よりも、昨今の日本の政治、民間、そして学術が課題とするテーマへの切り込みです。
読者として、巻末の参考文献と取材からの積み上げの物語に、ただ感謝です。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年8月12日
読了日 : 2021年8月12日
本棚登録日 : 2021年8月10日

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