借りたもの。
自己啓発本ブームは、社会にどのような影響を与えているのか?を統計を基に検証する本。
1970年代~2015年までの自己啓発本の内容の変遷についても言及。
ビジネス、ライフスタイル、スピリチュアルまで……多様に思える自己啓発本だが、男性向けと女性向けがあり、男性向けは「仕事効率・能力アップ」、女性向けは「家事や役割に囚われず、自分らしさを実現すること」になるという。
結論としては、手段の変容でしかなく、根底にあるものは何も変わっていないという。
生き方、手帳術、片づけと変わっても、そこには男性には「仕事効率を上げるため」のマネジメントであり、女性には「自分らしくあるため」の手段でしかない。
巻頭には編集者によるテンプレート化も指摘しているものの、世間が求めるステレオタイプのイメージから、世間は抜け出せない現実もあるようだ……
それでも、わずかながら内容が変わるのも事実だと私は思う。
特に今は、女性の社会進出に伴い、女性のお金との付き合い方、家事・育児……そして男性は仕事ばかりで良いのか?という、家族の在り方(性別役割分担の弊害が明確化されてきた?)を見直す事が、急務のような雰囲気がある。
(文中で引用されていた多賀太の文章は、私には性別役割分担の権化にしか見えなかったので、憤りを覚えた。男の存在価値がこの人の提唱する家庭には無い)
自己啓発本が多く書店に並ぶのは、それを解消する手段を探しているからではないだろうか……?
それは自己啓発本が促したのか、世相に敏感な著者たちが取り入れたのかは、判然としなかった。
著者は僅かにほのめかしただけだが、男の「仕事」と女の「自分らしさ」の壁が瓦解すると時が、真にその効果が現れた事になるかも知れない……
個人的な疑問は、本に限らない、実践的なセミナーはどのくらい社会に対して効力があるのか?という事。それは明言されていないし、お門違いな話なのだが……
自己啓発本を読んでいる時に感じる矛盾やモヤモヤ感の原因を明示される点で、「よく言ってくれた!」と思った。
- 感想投稿日 : 2016年4月8日
- 読了日 : 2016年4月8日
- 本棚登録日 : 2016年3月23日
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