NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2015年 2月号 [雑誌]

制作 : ナショナル・ジオグラフィック 
  • 日経ナショナルジオグラフィック社 (2015年1月30日発売)
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借りたもの。

帰還兵のPTSDとその治療の一環としての芸術療法について。
マスクのデザインに惹かれ、関心を持つ。
マスクを用いて表現すること――
それは彼らが抱える苦悩の叫びに過ぎない。兵士として(それは“男として”のジェンダー故か?)抑えつけられていた感情だ。
心の傷と向かい合うことは治療をするための第一歩なのだと思う。
ただ、脳の損傷を治す事は現在の医学では難しい。
残された他の部位や機能をもって、どれだけ自制できるかにかかってしまう気がする。

仮面に見るイメージはどれも傷だらけだ。退役した兵士たちの苦悩は計り知れない。
何より周りの人間から理解されない、できない事も大きいだろう。
デイヴィッド・フィンケル『帰還兵はなぜ自殺するのか』(http://booklog.jp/item/1/475051425X)とも併読。

爆風によって脳が損傷を受けることを指摘。
第一次大戦時に既に「砲弾ショック(神経症)」として指摘されていたが、多くの兵士がその時点では無傷に見えたため、心が弱いせいだと見なされてしまう。
(単純に兵士を減らしたり士気を下げたくなかったのだろう)
だが次第に「長期にわたってより深刻な問題を抱えるのは、おそらく脳損傷を受けた(心を乱した)兵士のほう」という事が分かってくる。

損傷を受け脳に「タウ」というタンパク質が異常に蓄積されること(CTE/慢性外傷性脳症)、爆風にさらされた兵士の脳に特有の病変の解明すること。
それによって有効な治療法の確立すること。
現在の兵士の装備も見直す必要がある等……
山積している問題を垣間見る。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 心理学 / 精神医学
感想投稿日 : 2015年6月7日
読了日 : 2015年6月7日
本棚登録日 : 2015年5月26日

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