日本の思想 (岩波新書 青版 434)

著者 :
  • 岩波書店 (1961年11月20日発売)
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感想 : 213
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丸山真男を読むのは初。よく内容が難しいと言われる本だが、1と2は元々論文に近い発表だからしゃーない気もする。それにしても一文が長い文章には辟易したが。ただ、後半二章は一気に平易になり、本としては色々問題があるのでは、と思ったりする。
肝心の中身は、リベラルプラグマティストな個人的な考えとも合うもので好感触。直接言及されてないが、明らかにウェーバーの影響が大きく、価値自由だとか職業としての政治で展開された政治家の倫理性などの考えが下地にある。あとは、一箇所だけ名前が出てきたが、ポパーの影響も大きい気がする。

日本には西欧的思想がなく、前近代が一気に近代化したとか、その際、空虚だからこそ天皇制がうまく働いたとか、どっかで読んだことあるなーって内容が多いのは、逆に前に読んだ本が丸山を下敷きにしてたということなのだろう。

個人的に面白かったのは、2章の政治、科学、文学の三角関係。こうした座標での昭和文学史の見方は面白い。最後にSF作家のHGウェルズの引用があって、その終わり方がなんとも爽やかだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年8月29日
読了日 : 2015年8月29日
本棚登録日 : 2015年8月29日

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