暇と退屈の倫理学

著者 :
  • 朝日出版社 (2011年10月18日発売)
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本棚登録 : 3053
感想 : 314
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すっかり知名度を得た國分さんの出世作。発売当時、つまらなくて途中読みだったのを再読。

個人的には根本的な退屈を感じたのは、中学3年生の夏休みの時だった。世の中の可能性やらなんやら先が見えてしまって、なんて人生は退屈なんだと思って耐えられなかったのを覚えている。(それを紛らわすためにギターを買ったのも覚えている)
ただ、ある程度大人になってからは、そんなに悩まされないんだよな。だから著者の問いが響いてこなかった。あと、以前読んだ時も感じたが、議論が恣意的な部分が強くてついていけないとこがある。論文じゃないから仕方ないとはいえ、もう少し説得力が欲しいと思うのは欲張りか?

この本の問題をひとつあげるとすると、消費社会の疎外論とハイデッガーの退屈の分析がうまく繋がってないことだと思う。なんというか、一本筋があって向かっていくというより退屈についていろんな面から分析しました、といった感じがどうもしてしまう。
ちなみに批判ついでに思ったのが、結論で持ち出される物を楽しむことという話だが、それが消費ではなぜいけないのか説明が曖昧な気がする。そもそも、浪費と消費という二項対立を持ち出しているが、区別できるのか? これってともすれば、著者が注意を促した疎外に対する本来性を立てることと同じになりかねないのでは?

なんだか文句ばかりになってしまったが、ひねくれた読み方をしなければ面白い本だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年10月6日
読了日 : 2015年10月6日
本棚登録日 : 2015年10月6日

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