ホモ・ルーデンス (中公文庫 D 4)

  • 中央公論新社 (1973年8月10日発売)
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感想 : 41

レジャー、趣味と同列の意味として遊びを捉えていたが、違う側面が遊びにはある。作者が遊びの定義として挙げているのは、「緊張、平衡、安定、交代、対照、変化、結合、分離、解決」といったものがある。遊びは何らかのイメージを心の中に想起することから始まり、時間的空間的制約の中で行われる。これを聞いただけでは、はて?という感じだ。

遊びという時に頭の中に対立するものとして仕事がある。サザエさん症候群といったように、多くの人は仕事はやりたくない嫌なものとしてとらえられがちだ。しかし、仕事を遊びと見方を変えることはできないだろうか。仕事自体はやり方次第でいくらでも工夫ができる。さらに、競争する要素もある。社内でも社外でも生き残りのための競争が繰り広げられる。クリエイティビティも必要だ。仕事は本来遊びの要素をふんだんに含んでいる。では、なぜ仕事は遊びにならないのだろうか。

中田英寿さんが、自身のサッカー人生について、ずっと遊んでいただけと言っていた。この言葉は結構衝撃的で、あれほどの成果を出してきた人がさらっとこんなことを言っていた。スポーツとビジネスで内容は異なる部分はあるが、考え方、ものの見方は参考になる。仕事を遊びにしてしまえば、人生が楽しくなる。社会に出てからずっと遊んでいられるのだ。スポーツで大事な感覚は、何かができるようになる、上達するということだと思う。中田もあるプレーを想像して、それができるようになるまで反復練習するのだ。素晴らしい創造力あふれるプレーは想像力と反復練習で生まれていた。

ビジネスマンはこういうことができるようになりたいと想像する機会が少ないのではないかと思う。ただ単純にその機会を持っていない、そういう例が身近にいないということだけである気がする。1日の中で5分間、どんなことができるようになりたいか、想像力を膨らませてみるのもいいかもしれない。それが仕事を向上させる原動力になるのではないだろうか。

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感想投稿日 : 2016年3月30日
本棚登録日 : 2016年3月22日

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