とある機会に「骨片」の一部を読み、前後が気になったので読んでみた。
初読の際は、三浦しをんとは気付かないくらい仄暗い色の話だなという印象。
女だてらに学問を極めたことへの自覚と誇りと思い出。それを生かすわけでもなく、閉じられた田舎で生活することへのもどかしさ。忙しさで薄れていく過去の日々。女性を解放してくれない時代。
言葉にできず、誰かに吐き出すこともできず、悶々とした塊を抱える主人公。
現実に向き合えず、頑健だが床に伏せってばかりいる祖母へのシンパシー。
全体を斜め読みする際は、どうしてもここまで深く読み込めない。全文を読んでみると、もう少しカラッとした明るい色のイメージだった。
…というか、なんかラブコメだった。
有川ひろほどのベタ感はないけれど。感情の微妙な機微を優しく書いてくれているけれど。
様々な設定の下、雰囲気も形も違う短編が揃っているけれど。流石三浦しをん、なのだろうけれど。
…いやこれベタベタの恋愛小説ですやん!
ファンタジー感すらあって、正直一部の話は引きましたわ!(あまりにも好きオーラを出しすぎな人々に対する照れもあったのだろうが…)
中村うさぎの解説が賛美しすぎててまたベタ感を助長していて。いや悪いわけではないのだけれど。
冬のほの白い北極星のようなあの人。
自分を導いて、包んでくれる。
自分にとってポラリスのような存在が、主人公たちの胸の中にはいるんだな。
いやそれは素敵。素敵なんだけどね。
最強の恋愛小説集て…何なん…(ZAZY風に)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月9日
- 読了日 : 2023年11月9日
- 本棚登録日 : 2023年11月9日
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