上巻に続き下巻を読了。
激動の昭和を生きていく竜太。戦争の足音が近づいてくる最中にもたらされた通知、赤紙。
芳子との結婚も間近なのに出兵せざるを得ない竜太。
<北海道綴方(つづりかた)教育連盟事件>1940年から41年にかけて北海道で起きた思想弾圧事件。 日常生活をありのまま表現させる綴方(作文)教育を実践した教師らが「子どもたちに資本主義の矛盾を自覚させ、階級意識を植え付けた」とされ、治安維持法違反容疑で大量に逮捕された。
上記は引用文だが、この事件でも竜太には大概にして濡れ衣であり、7ヶ月という拘留生活を経て、保護観察下とは言え釈放された後に出兵。
どこまでも同じ日本で起きた出来事とは思い難い話ではあるが、史実は史実。
三浦文学の要素が詰め込めるだげ詰め込んだ作品、そんな風に感じた。事実、この作品が著者最後の長編小説らしい。すべからく納得できます。
“愛”とは、“赦し”とは、“神”とは。
クリスチャンらしい疑問を投げ掛けるあたり、作風はいつも通り。しかし、細やかに人物像や背景を変化させることで、どの作品も別物として読める。何より読みやすいのが有難い。
真面目なテーマながら、ホッコリしてしまうところも織り交ぜて進むストーリーには、惹き込まれる以外の手立てが無い。
稚拙な感想しか出てこない自分自身が情けなくなるぐらいです…。
良い作品に出会えました。
竜太や芳子の様な夫婦が、後の世に大勢現れてくれることを切に願いたい、おっちゃんはそう思いました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月21日
- 読了日 : 2024年2月21日
- 本棚登録日 : 2024年2月21日
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