著者の第1作。
主人公は京大5回生の「私」。本書は「私」の一人称で語られている。
「私」はモテない。が、3回生の時に水尾さんという彼女ができる。が、1年ほど付き合ったのちフラれてしまう。
本書の冒頭に、「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。」とあるが、このような考え方のせいでフラれたことを自分で処理できず、水尾さん研究と称し、ストーカーまがいのことをする。
さらには、モテないをこじらせて、同じような境遇の4人つるんで死ね死ね団のようなこともする。挙げ句の果てに、クリスマスイブにええじゃないか騒動を巻き起こす。
この騒動が転機になる。街ゆく人に「ええじゃないか」と語りかけていき、それが伝染して大きなうねりになっていったのだが、その中で巻き込まれた水尾さんを偶然見かける。今まで記憶の中でしか会うことができないでいた水尾さんがすぐそこにいる。声をかけるが返事がない。そこで「私」は「ええじゃないか」ではなく「ええわけがない」と思う。
2人がその後どうなったのかは直接明かされていないが、本書の最後に「何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。そして、まあ、おそらく私も間違っている。」とある。
フラれたことを受け入れて、もう一度水尾さんと向き合うことを選んだのだ。うまくいっていてほしいとモテない自分はそう思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月14日
- 読了日 : 2023年3月14日
- 本棚登録日 : 2023年3月14日
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