鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年9月24日発売)
4.08
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本棚登録 : 7226
感想 : 751
5

読み終わった時に「読み終わった〜」ってなる物語でした
うん、伝わると思う

壮大かつ雄大でありながら非常に緻密さを感じる物語でした
着想から書き終えるまでに10年の歳月を費やしたということでしたが(ずっと煮込み続けたのではないにしても)それも納得の大作でした
物語の根幹となる「病」に関する考え方や、動植物の生態、辺境民族の生活様式、それぞれの民族の宗教観や死生観、政治の有り様などがきちんと積み上がって土台となりしっかりと下支えしているのでちゃんと“世界“が動いているんですよね

自分はファンタジーで最も大切なのはそこだと思っていて、物語の表面には出てこないかもしれない“異世界の地図“がちゃんと描かれていないとちゃんと投影できないんですよね

「ファンタジーとは地図の物語だ」
(なんかかっこいいこと言った!)

そして『鹿の王』は運命の不公平を描いた物語でした
同じ人に生まれながら病にかかる人とかからない人がいる、生まれ落ちた時点で人の貴賤や貧富にどうしようもない差がある、小国に生まれたというだけで正直で慎ましい生活を追われる人がいる
そんな運命の不公平に大切ななにかを奪われたときあるいは奪われそうになったとき
そんなときに進むべき道のひとつが示されていた
ような気がします

そして運命にあがらいながらひとつの家族が生まれる物語でした

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 上橋菜穂子
感想投稿日 : 2022年9月11日
読了日 : 2022年9月11日
本棚登録日 : 2022年9月8日

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コメント 6件

土瓶さんのコメント
2022/09/11

ふむ。
「ファンタジーとは地図の物語」
なるほど。
いいえて妙ですな。
ワチャワチャしたアクションも大事だが、まず、設定を、歴史を、背景を書きなさい。ってことだね。
空想の時空が舞台なので、その土台が大事なのだと。
 
そんなひまわりめろんさんに、いつか手にとってほしいファンタジーがあります。


「図書館の魔女」

評価が高い作品なのに、全4巻の半分、2巻目で投げ出してしまったんですよね。
ギブアップ本です。
 
世界観は、しっかりしていたと思います。
地図もあったし。

手が空いたらお願いしますだ(笑)

みんみんさんのコメント
2022/09/11

めちゃくちゃ人気だから買っちゃった鹿の王
ファンタジー久しぶりだから大丈夫かな(-_-;)
異世界の地図は大事だよね…
クリアした後は攻略本に地図ないし…
ドラクエまた1からやりたいな(〃ω〃)

ひまわりめろんさんのコメント
2022/09/12

わしゃ二人のギブアップ本を最後まで読んで感想を書く係か!w

読みたいリストに登録しときます

ひまわりめろんさんのコメント
2022/09/12

ドラクエは結局Ⅰが一番面白かったというじい様の意見

aoi-soraさんのコメント
2022/09/15

ひまめろさん、こんばんは^⁠_⁠^
改めてレビューを読ませて頂き、感動しました。
さすが、良い事言いますね。
「ファンタジーとは地図の物語だ」!!
うーん。唸ってしまいましたよ^⁠_⁠^
こうゆう壮大な物語って、土台がしっかりしてないと入り込めないですよね。
そして入り込めないと、ギブアップしがちです(*_*;

ひまめろさんのレビュー読んで、また読みたいと思いながらも、再読する気力は今はありません(⁠个⁠_⁠个⁠)
だってこの本、体力がいるんだよね〜。

ひまわりめろんさんのコメント
2022/09/16

アオイさん
こんばんは!

そうなんですよね
良い事言いますよねw

こういう物語を読むと本当に小説家さんて凄いなってリスペクトしますし
読む方もなんかちゃんと読まないと!って思ったりして体力使いますよね

そしてそんな土台のしっかりした『鹿の王』は色褪せない物語だとも思いますので慌てず騒がす再読の機が熟すまで寝かせてもいいんじゃないでしょうか

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