万能鑑定士Qの事件簿V (角川文庫 ま 26-314)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年8月25日発売)
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万能鑑定士シリーズの第5弾。初めての海外で起きた食中毒事件を描いた本作。今回は小笠原の代わりとして恩師の喜屋武が海外に同行し、相棒として活躍していく。莉子を子供扱いする喜屋武と子供扱いされたくない莉子のギャップがとても微笑ましかったです。そして今回は恋愛模様も取り入れられており、楚辺の莉子に対する思いや喜屋武がかつての教え子に薔薇を渡すシーンなど、今までの登場人物が見せてこなかったシーンがあるのが印象的であった。
事件の謎としては、単なる食中毒事件というよりもテロに近いものを感じた。極端なアニマルライツで人に危害を加えられてしまうところがとても恐ろしかった。それが子供の頃のちょっとした経験が元になっているのは、父親からすれば日常の風景にしか過ぎないものが彼女の人生のきっかけを作ってしまうのかと思うととても切ない気持ちになった。彼女の使ったトリックは冷静に考えてみればとても簡単だが慣習化された作業故に気づきにくくなっているという盲点を突いたところには目から鱗が落ちた。思い込みは怖いなぁ。
そしてエピローグのルーブル美術館のシーンは、実写映画化されたあの話につながっていると思うので今からとても楽しみである。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
凜田莉子:佐藤聡美
小笠原悠人:寺島拓篤
喜屋武友禅:森川智之
楚辺瑛翔:松岡禎丞
ヤニク・クストー:津田健次郎
アンジェリーク・クストー:東山奈央
ヴァランタン・コタヴォ:中田譲治
イヴォン・ダングルベール:小西克幸
エミリー・ダングルベール:甲斐田裕子
シモン・カヴェニャック:大塚明夫
矢崎凱哉:西山宏太朗
ジェリエンヌ・バゼーヌ:湯屋敦子
ギュスターヴ・シャミナード:梅原裕一郎
凜田盛昌:千葉繁
凜田優那:井上喜久子
オディロン・ボアイエ:宮野真守

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー小説
感想投稿日 : 2022年2月13日
読了日 : 2022年2月13日
本棚登録日 : 2020年8月28日

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