塩の街 (角川文庫 あ 48-3)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年1月23日発売)
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初の有川浩さんの作品。序盤の雰囲気から塩害の被害に遭った人間の生き様を描いていくのかと思っていたら、中盤以降は出会った男女の恋愛話が中心になっていき別の意味で裏切られた。
真奈の秋庭を思う気持ちと秋庭の世界を塩害の脅威を救うために命をかける決意がぶつかり喧嘩にまで発展するシーンはどちらの気持ちも分かってしまいとても苦しい気持ちになった。登場人物はみんな愛する人と一緒にいたいという願いを中々伝えられない不器用な人が多く,それがいとおしく親近感を覚えた。そしてそのような愛する人がいるからこそ人を守り,あまつさえ世界を救うことが出来るのだと思った。高橋ノブオが書いた本の冒頭部分『世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた。その中の1つの恋が世界を救った。そのことを僕はこれから書こうと思う』にも現れている。ヒーローは守りたい人を守っただけでその他の人はそのおこぼれでしか無いというのは1つの真理であると感じた。
これから後2作品の自衛隊シリーズも読んでいきたい。

追記
最後にこの作品をアニメ化したときの声優陣を自分なりのキャスティングにしたので読むときの参考にしてください。
秋庭 高範:松岡禎丞
小笠原 真奈:豊崎愛生
谷田部 遼一:梅原裕一郎
トモヤ:村瀬歩
入江 慎吾:河西健吾
野坂 由美:日笠陽子
野坂 正:安元洋貴

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(ミステリー以外)
感想投稿日 : 2021年7月23日
読了日 : 2021年7月22日
本棚登録日 : 2020年10月28日

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