久々の米澤穂信作品。
田舎特有の息苦しさとそれに立ち向かう少女の成長物語であった。序盤は都会から越してきた血の繋がらない母親・弟の関係性が中心だったが段々と、得体の知れないものが迫っていくサスペンス要素が強くなっていくところが面白かったです。
黒幕については登場人物が少ないからか、直ぐに見当はついたもののその予想をおおきく上回る所がとても良かったです。まさか、町ぐるみで、しかも母親を巻き込んでまで彼の記憶を呼び戻そうとしていたという事への衝撃やそこまでして水野報告を手に入れたいのかと驚きが隠せなかった。それが当たり前に行われている所が、それによって人を追い詰めることが出来てしまうというのがとても恐怖を感じました。
そしてもうひとつの要素として血の繋がらない姉弟の絆も軸となっている。最初はどこかぎこちなくお互いに「バカ」呼ばわりしていたのが、サトルの秘密が明らかになっていくとともに彼の事を見直し、一人の「姉」として彼を護ろうとする所がとてもグッときました。
米澤穂信作品はダークな世界観が特徴的で今回もそれに近いものであるが、最後のシーンは希望を持たせる結末になっていたところも良かったです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
越野ハルカ:黒沢ともよ
越野サトル:種崎敦美
越野ヨシエ:茅野愛衣
在原リンカ:早見沙織
三浦孝道:福山潤
宮地ユウコ:佐藤聡美
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー小説
- 感想投稿日 : 2022年8月13日
- 読了日 : 2022年8月13日
- 本棚登録日 : 2020年11月9日
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