沈黙のパレード (文春文庫 ひ 13-13)

著者 :
  • 文藝春秋 (2021年9月1日発売)
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感想 : 827
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ガリレオシリーズ第十弾の作品。
『探偵ガリレオ』『予知夢』の時のような推理マシーンのような湯川学では無い、深化した湯川を見れたという印象だった。親友(草薙)の無念を少しでも晴らしたいという思いが湯川を動かしたと聞き多くの事件を通して、人間味の増した人物になっていてとても面白かったです。
今回のテーマはタイトル通り「沈黙」で、黙秘を貫いた結果、不起訴・釈放という判決を受けた因縁の相手が遺族のいる街に現れたところから物語が始まる。遺された家族や周りの人間の悲しみや怒りがこれでもかと文章で訴えかけてきたのがとても印象的でした。そして周りの人々が『ある計画』を実行していく所で、「あぁ、蓮沼を殺すんだろな」という風に思い込んでいたまま話がそのまま進んでいったので、この殺人事件をどのように解いていくのかという物語になっていくのかと思っていたら、まさかの真相に騙されまくりました!
この真相を黙ったままにするのかと思っていたら、全てをさらけ出すという所に持って行く所にしたのが、とても良かったです。黙ったままだと沈黙で楽して生きてきた蓮沼と同じになってしまい、また苦しむ人が出てくるので、沈黙を破ることで他の関係者が過去から解放されて次へ進むことが出来たのかなと思いました。それに終止符を打ったのが、真相を明らかにしたことで全ての人が不幸になってしまった経験を持つ湯川なのが、まるで湯川本人もやっと自爆から解放されたのかなと思いました。
素晴らしい結末でした。ありがとうございました。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
湯川学:小野大輔
草薙俊平:諏訪部順一
内海薫:小清水亜美
岸谷:飛田展男
間宮慎太郎:山路和弘
多々良:若本規夫
並木祐太郎:井上和彦
並木真智子:能登麻美子
並木佐織:早見沙織
並木夏美:富田美憂
戸島修作:三宅健太
新倉直紀:小山力也
新倉留美:島本須美
高垣智也:斉藤壮馬
高垣里枝:日高のり子
宮沢麻耶:ファイルーズあい
増村栄治:中田譲治
本橋誠二:小野賢章
本橋由美子:花澤香菜
蓮沼寛一:子安武人

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー小説
感想投稿日 : 2022年12月18日
読了日 : 2022年12月18日
本棚登録日 : 2021年8月1日

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