愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー c- 3)

  • 中央公論新社 (2006年7月10日発売)
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感想 : 81
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村上春樹が文体における我が師と仰ぐレイモンドカーヴァーの転換期にあたる作品。
文体それ自体は以前読んだ「アメリカの鱒釣り」でリチャードブローティガンが見せた清新な文体に近いものを感じた。
しかしながら、意味性を排した文というわけではなく、むしろどんなに短い短編にも哀しげな余韻とともに慰みが込められている。そういう意味もこの作品のイメージカラーは表紙にあしらわれているのと同じ色調のブルーだ。
村上春樹自身これらの作品からどんなエッセンスを引き出したのか最初は疑問に思ったが細かい設定や人物描写をあえて省くことで逆説的に主題を浮かび上がらせるという手法を学んだのでは無いかと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月26日
読了日 : 2021年12月26日
本棚登録日 : 2021年12月26日

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コメント 4件

おはようまだねようさんのコメント
2021/12/29

ぶらいあんさん こんにちは。私もこちら、春樹さんに影響されて読み、すっかりお気に入りです。今年も終わりますが印象に残っている作品はありますか。

Big Bさんのコメント
2021/12/29

こんにちは。なかなか咀嚼が難しいですが間違いなくいい作品です!
すごく選びがたいですが映画化されたものが良かったこともあり、ドライブマイカーの入っている女のいない男たちが心に残ってます。

おはようまだねようさんのコメント
2021/12/29

返信ありがとうございます。奇遇なことに、ちょうど今日ドライブマイカー観てきました(上映直前にこの返信受け取ったまであります)! 年の終わりに本作も観れ、村上春樹を味わい尽くした一年になりました。

Big Bさんのコメント
2021/12/30

まだドライブマイカー上映してるんですね!
終盤の雪景色と共に音がなくなるシーン。一生忘れません。

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