文庫版まで出た、というので読んでみたのだったが、主観的で見通しのきかない世界に終始している感が強い。虐待された過去を持つアルビノの少女を、二人の人物が、一方は自分のものにしようと他方は救出しようと繰り返すのだが、実はどちらの人物も「私」なのでは、ということに早い時点で気づかされる。作家自身の持つオブセッションにつき合わされているようで居心地が悪い。他者というものが存在しないエゴセントリックな世界になじめない読者であるこちらの方が、所詮縁なき衆生なのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2015年3月27日
- 読了日 : 2015年3月25日
- 本棚登録日 : 2015年3月21日
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