本当の強さとは何か

  • 新潮社 (2016年7月15日発売)
3.54
  • (1)
  • (5)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 41
感想 : 7
4

<感想>
現代格闘技界のレジェンド中井祐樹へのインタビュー。著者との対談形式である。
特に格闘技に関心は無く、たまたまwebで見かけたレビューに興味をそそられて読んでみた。読む前は、超人的な格闘家の人生を語った内容だと思っていたが、以外にも人材育成や哲学的な観点で格闘技を語っており、学び多き一冊だった。

<アンダーライン>
・(右眼を失明してブラジリアン柔術家になったとき)「これは神様からプレゼントされたんだ」と。ブラジリアン柔術をやる機会をね。
・僕がやっていた頃の昔の日本の野球や柔道は、ステップアップ式にやれば強くなれたかもしれない人たちをふるい落としちゃってた。
★★★木村先生のお弟子さんに聞くと「試合の前はすべて準備されている状態。もう終わっている状態。練習がすべてで、試合本番はその結果が出るだけだという考え方でした」
・ああいった方々は己の完成だけが目標だったわけで、そういうのも称賛しなきゃいけないですよね。五輪に行けなかったことで敗者になっちゃうわけですけど称賛しなきゃいけない。
★★技は力のうちにあり
・勝ち負けなんてどうでのよくなってる。正しいか間違っているか、それさえどうでもいい。
・パーフェクトゲームで人生を終えられる人なんて1人もいない。
・(小説を書くことについて)いかに人を苦しみから救えるか。
★無益な勝ち負けのなかで時間を費やすには人生は短すぎるから。
・(グレイシー)生き残る、負けなければいい
・健康ほど大切なものはない
・作家だからね。なんかおかしなことに巻き込まれても観察者の眼も持っているから相手を観察してると面白いし、小説のモチーフにしたらこの人面白いなと思ってみてる。
・若いときは体も心も強くて堅くてパワフルだった。でも強すぎて脆かったんじゃないかな。
★動物学の視点から言うと、ある動物種が絶命するときって「まだ大丈夫」と思ってたら、ある日突然スパッといなくなっちゃうんだ。
・スポーツの試合が人生のシミュレートになる
★自分の人生は1回しかなくて、前へ一方向へ進むだけの一本道だから他が見えないし、一度過ぎ去った時間をやり直すこともできない。だからこそ小説や映画で他の人の人生をある程度シミュレートするもの必要なんじゃないかな。
・スポーツは疑似戦争、イデオロギー同士がぶるかる舞台ですよ。その日は一喜一憂するけど、それが勝利でないことも絶対的な負けでないことも知っている

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 対談
感想投稿日 : 2021年2月9日
読了日 : 2021年2月9日
本棚登録日 : 2021年1月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする