入門 犯罪心理学 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2015年3月4日発売)
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本棚登録 : 845
感想 : 42
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<感想>
「入門」と銘打っているだけあって初心者向け。事例は少なめで、犯罪心理学という学問の概要解説といった趣きになっている。実際の犯罪事例から読み解く犯人の心理、みたいな内容を想像していたので少し期待とは違った。

<アンダーライン>
★★★★★(宅間と加藤の共通点)自分の痛みには過敏で、傷ついたり怒ったりしやすいが、その反面、人の痛みには驚くほどに鈍感だという点も共通している。それと関連して、両者ともに被害者意識がきわめて強く、他者を傷つけたり、困らせたりすることで仕返しをしようという態度が顕著な点も瓜二つである。
★★★事例B 自己評価がとても低いんです。万引きをして、タダで盗ってくると、初めて他の人と同じスタートラインに立てる気がしました。最初にマイナスのところにいるから、ズルをすることで初めて人と対等になれる気がしたんです。
★★★認知が非常にゆがんでいる者が世の中には行って数いるのだ。そうしたものは、物事を何でも被害的に受け取ったり、他愛のない他者の言動を深読みしたり、とにっかう通常では考えられない捉え方をする。
★★★犯罪者には、遅延価値割引傾向が大きい者が多い。簡単に言えば、「将来のことはどうでもよい」という思考形式のことである。
★★★★粗暴犯罪を行った者は、安静時の心拍数や呼吸数が少ないということも際立った特徴である。心拍数や呼吸数は、脳の覚醒レベルの指標である。つまり、これらが少ない者は、脳の覚醒レベルが低い状態にある。比喩的に言えば、脳がいつもシャッキリときびきび昨日している状態ではなく、どこかとろんとした状態にある。
これは、生物学的には不快な状態であるため、目を覚まさせる必要がある。そのために、彼らは刺激のある行動を求めたり、暴力沙汰に及んだりするのだと説明できる。つまり、攻撃性の高い人々は、生物学的にそのように駆り立てられているのだと言える。
★★★★★「不安にならない」「落ち込まない」「怒らない」などという対処は、逆に死人にしかできない対処であって、生きているわれわれが行うのは不可能である。
★★★★★薬物依存者だけでなく、犯罪にかかわる人々は、暇な時間に何もすることがない人々が非常に多い。
★★関連性の錯誤

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2021年10月11日
読了日 : 2021年10月11日
本棚登録日 : 2021年10月2日

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