震える舌 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (2010年12月15日発売)
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本棚登録 : 114
感想 : 13
5

映画化されたものを小学生の時にTV初放映か何かで観た記憶だけでずっと鮮明だった口から流れる血の泡がトラウマで、破傷風という病気の恐ろしさをずっと引きずりいつか自分も外でけがをした時に発病するんじゃってドキドキしたのを覚えている。
急にその記憶から原作が読みたいって思うようになり、急遽借りて読んだ。
物語も素晴らしいが、住まいの表現、感情の描写、父として、夫としての描写などが巧みで天才作家だったんだなって感心した。
破傷風にかかった娘の看病地獄、そして自分も感染したのではないかと、しかも医師が正直に答えてくれないという疑心暗鬼が見事に盛り立てられており、最後の大部屋の子供たちが全員寝ましたと電話のセリフまで緊張感が半端なかった。短い話だけど読みごたえは十分で、あとがきを読んで実は作者の実話だったと知り二度びっくりした。
そして我慢できずAmazonプライムで無料視聴できるという事もあり、映画版まで観た。
小学生の時の記憶は薄ぼんやりだったけど、子供が扉を開けて入ってくるシーンや、お父さんがうたた寝したときに開くカーテン、そして発作時の口からの血泡は当時そのままの映像でまったく色あせることなく覚えていた自分にもびっくりだった。
余談だが、この映画、今作ったらもう幼女を裸に剥き大のおっさんが触りまくっているという異様なシーンで問題視されていただろうなぁ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ヒューマンドラマ
感想投稿日 : 2021年5月1日
読了日 : 2021年4月30日
本棚登録日 : 2021年5月1日

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