薄い本のなかに、三編。
高速道路の下の、都会の谷間に佇む飲み屋のカウンター
会社を立ち上げがむしゃらに働きながら、追う父の姿
女遊びのやまない父をもった息子がみた、父の恋人の痩せた背中
鷺沢萠の若い頃の本を読むといつもおもう。
どうして、18だか19だかの
少女と呼ぶのがふさわしいころに
こんな小説がかけたんだろう。
ひとの、人生のつらいことやかなしいことを全て知って
知ったうえで、肩ひじはるのをすこし、やめたような
そんなおとなの話がどうしてかけたんだろう。
足下のコンクリートにも、きちんと色があるのだってこと
思い出させてくれるような
灰色も一色ではないのだと教えてくれるような
そんな、鮮やかな本。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
何度よんだかわからない
- 感想投稿日 : 2010年3月15日
- 読了日 : 2010年3月15日
- 本棚登録日 : 2010年3月15日
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