駆ける少年 (文春文庫 さ 21-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (1995年5月1日発売)
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本棚登録 : 247
感想 : 20
4

薄い本のなかに、三編。
高速道路の下の、都会の谷間に佇む飲み屋のカウンター
会社を立ち上げがむしゃらに働きながら、追う父の姿
女遊びのやまない父をもった息子がみた、父の恋人の痩せた背中

鷺沢萠の若い頃の本を読むといつもおもう。

どうして、18だか19だかの
少女と呼ぶのがふさわしいころに
こんな小説がかけたんだろう。
ひとの、人生のつらいことやかなしいことを全て知って
知ったうえで、肩ひじはるのをすこし、やめたような
そんなおとなの話がどうしてかけたんだろう。

足下のコンクリートにも、きちんと色があるのだってこと
思い出させてくれるような
灰色も一色ではないのだと教えてくれるような

そんな、鮮やかな本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 何度よんだかわからない
感想投稿日 : 2010年3月15日
読了日 : 2010年3月15日
本棚登録日 : 2010年3月15日

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