重力ピエロ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年6月28日発売)
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感想 : 4259
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オーデュボン、ラッシュライフ、陽気なギャング、重力ピエロと読んできたが、今のところ特に心に響くものはない。
砂漠はだいぶ前に読んだが、面白かった。ということは、重力ピエロ以降の作品はどんどん面白くなっていくのか?

上記作品に共通しているのはとにかく「薄っぺらい」ことだ。
ミステリーというには謎が入り組んでおらず、文芸というには軽い。
登場人物は「いかにも作った」感じだし、ストーリーは伏線回収といえば聞こえはいいがどこか「都合が良い」。
そのくせ、うだうだと喋る喋る。ドストエフスキーを引用して見せるが、ライトな読者層には「頭が良さそう」に映るのだろう。

世間では人気があるようだから、私の狭い感受性に合わないだけなのだろう。

印象的な一節。
――ピエロは、重力を忘れさせるために、メイクをし、玉に乗り、空中ブランコで優雅に空を飛び、時には不格好に飛ぶ。何かを忘れさせるために、だ。
私が常識や法律を持ち出すまでもなく、重力は放っておいても働いてくる。
それならば、唯一の兄弟である私は、その重力に逆らってみせるべきではないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年1月5日
読了日 : 2016年1月5日
本棚登録日 : 2016年1月3日

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