現在のドイツについてこの視点はなかった。政治・経済の優等生で、いちはやく脱原発に向かう、国民の意識の高さと民主主義。EUの経済を牽引する勤勉さとその成果。おしなべて良いイメージを持っていた。
しかし人口学者エマニュエル・トッドの見方は違う。
ソ連の崩壊の予測を人口の推移データから的中させ、グローバリズムをアメリカニズムと切り捨ててその帝国の衰退を予言するフランス人の彼が見るドイツは、EUを事実上牛耳り、新たな経済圏を東へと拡張してロシアに迫らんとしている、無邪気にして尊大な帝国の復活である。
ウクライナ問題にしても、西側の報道には現れない、別の側面が存在する。EUが肩入れする現政権がナチスに親しい極右勢力であることも、今は問題視されていない。
あまりに強大になったその力を押さえる勢力はもはやEU内には存在しない。その脅威を論じる人間は少ないようだ。
物事には必ずカウンターとなる意見があり、それを丁寧に読むことはきっと大切なことなのだと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経済
- 感想投稿日 : 2015年6月11日
- 読了日 : 2015年6月4日
- 本棚登録日 : 2015年6月11日
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