教えて! 校長先生 - 渋谷教育学園はなぜ共学トップになれたのか (中公新書ラクレ 543)

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  • 中央公論新社 (2015年11月7日発売)
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自調自考、
この学校は全くそれに尽きるのだけれども、自調自考を問われるのは生徒だけではない。
教師も自調自考。
そして、保護者も自調自考。
そのことが、7章と8章に提示されている。

シラバスは今や当たり前のものになってきているが、渋幕では早くから取り入れられている。
面白いのは、学年によって構成がずいぶん違うこと。
学年の担任団の自調自考が端的に表れる。
「そりゃそうでしょう、入試選抜を経ても毎年違う生徒たちが入ってくるのだから。教える担任団だって個性がある。違って当然」と言う。

そんな先生達をどう採用するかについても書かれているが、それ以前に、この学校 先生の数が多い。
いわゆるレシオが高い学校ではなかろうか。
例えば、帰国生対象の取り出し授業は全部外国人教師。もちろん彼らも一般生のクラスの授業も持つが、週に6時間全学年で取り出しを実施できるだけの人数を確保しているのだ。
多様性をキープするには、数もまた重要な要素。

5章、6章は親としても考えさせられる内容。
武士道、茶の本、代表的日本人、必読ですね。

田村先生はキホン的に昔話をされない。
尋ねられれば答えてくれるが、昔のことは、昔のことを知る先生方から聞くことの方が多い。
珍しく、4章では生い立ちを語られていて、田村先生なりの教育思想がどのように形成されたかを感じ取ることができる。

40代で渋幕を新しく立ち上げたのだ。
悔しい思いもたくさんしたことであろう。
とにかくよく動かれる。
孫の年代の生徒達を前に、各学年 年に6回だかの校長講話を両校で行う。
学外での仕事も多い中、渋谷と幕張の両校で続けているのは凄い。
生徒だけではない。
保護者相手にも必ず出てくる。
年に二回の地区懇談会。
若くて時間があった頃は、町内会単位といってもいいくらいの規模で実施していたらしい。
校長講話の中身に共感できない生徒でも、卒業するまでに、その姿勢からは何かを学び取っていくのだろう。

あ、そうだ、
学校は男女比1対1にしたい、と書かれていてホッとした。世の中、男女はほぼ1対1だもの。

どうぞお元気で、まだまだご活躍ください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年5月19日
読了日 : 2016年7月6日
本棚登録日 : 2016年5月19日

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