似たものどうし: 慶次郎縁側日記傑作選

著者 :
  • 新潮社 (2010年1月1日発売)
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本棚登録 : 31
感想 : 3
5

小説新潮から「心にしみる悲しい話」をと、
頼まれたのは深川澪通り木戸番小屋シリーズを執筆中。
50枚くらいと依頼があったが、55枚65枚となり
担当者の頭を抱えさせた。

それが「その夜の雪」
作者はそれで書き終えたという気持ちにはなれずに、
間を置いて2編を書き、「慶次郎縁側日記」が始まることになる。

このシリーズ、読者からもお叱りがあるようだが、
慶次郎が主人公でありながら、その手下となる岡っ引きや、
養子に入ることになる亡き娘の許嫁。
はたまた、隣に住む実直な同心など話に据える主人公がかわる。
そしてそれは、人の良きところだけを描くのではなく、
悲しいまでの経験からそれぞれの陰の生き様まで映し出す。

この本は、作者の制作秘話や、ファンのオススメの1編、
ドラマ化され演じた俳優の心に残る1編などを収録。
名作揃いの傑作編となっている。

この1冊で、慶次郎縁側日記シリーズのエッセンスは
堪能できるのだが、やはり、時間はかかっても、
全シリーズを読み明かしたいと願ってしまう。

人を丸ごとすっぽり包むように、良きことも悪きことも
隠さず書き綴る文章は、切ないほどに刹那的で
人の必死さが現れている。
この1冊読んだだけでも、重量感溢れる前編後編の映画を
見るようだ。是非是非オススメの1冊になった。

まずは1冊をという入門編にふさわしい1冊

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年12月14日
読了日 : 2018年12月14日
本棚登録日 : 2018年12月14日

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