君たちはどう生きるか (岩波文庫 青 158-1)

著者 :
  • 岩波書店 (1982年11月16日発売)
4.18
  • (1261)
  • (978)
  • (545)
  • (61)
  • (26)
本棚登録 : 11734
感想 : 1174
5

中学生のコペルくんの身の回りの出来事、
そしてそのおじさんがコペルくんにむけて
語り口調で記述するおじさんノート
最後の章で、そのおじさんノートへの感想
として書かれたコペルくんの言葉で構成されている。

おじさんは法学士をしていて常にコペルくんに
問題提起をする人だ。コペルくんの良いところは誉め、
悪いところは指摘して、考えさせる。
コペルくんの名前はコペルニクスに由来するが
それが故に深いところまで考える力がある。
おじさんは、大人の目線で知見を与えつつ
人間らしい関係とは何かを考えさせようとする。

油揚げ事件、北見君リンチ事件、おじさんと語った
ニュートンの林檎、どの出来事においても
コペルくんは深く考えた。
それが、その時だけにとどまらない意味を持つ
君だけの思想にするために。

一通り読んだ後に、第9章の水仙の芽とガンダーラの仏像
だけ、少し違和感を感じた。
でも、よくよく考えたら、一貫して自分を中心にして
見るのではなく、人間としてのかかわりの中の自分を
考えることの意義、そしてそれを考えられるように
なることが立派な人間(大人)になることだと
書いているように感じる。
だとすると、この章のガンダーラの仏像が
インドで見つかった仏像でありながらギリシャ人が
作ったものであることは、さまざまな民族もまた
つながっていること、他国家、他民族間で争うこと
はないのだと問うているのかもしれない。

コペルくんがおじさんノートに書いた感想は
すべての人がお互いに良い友達である世の中に、
そしてそれに役立つ人間になりたいと書いた。
いまさらながら、私もそんな人間になりたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年9月25日
読了日 : 2024年4月5日
本棚登録日 : 2023年9月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする