はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

  • 岩波書店 (1982年6月7日発売)
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本棚登録 : 10687
感想 : 1000
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「本には何かしらの教訓があるから」と言わんばかりに小中高では読書感想文を求められた。
もし本書のそれを書くよう言われたら、きっと当時の自分は一生かかってもテーマについて考えたがるだろうし、気持ちが湧き上がっても共有せず大切にしまっておきたがると思う。

児童書・ジュニア書の類で見ていたけど、一気読みができず立ち止まってばかりいた。
「自分がしたいことをどんどんやる!」という標榜は一見夢のようで私も憧れる。でもそれらはがむしゃらに実現していけば良いってもんなんかな。

「自分には何もない」と自信喪失していた主人公が数ある望みを叶えていくにつれて空虚な存在に近づいていくのが妙に現実味あって心底ゾッとした。
より不完全な自分を忘れ去り、全速前進したくなる心境は痛いほどよく分かるし何度も味わってきた。

望みを叶えようと躍起になることで、知らず知らずのうちに自分のバックグラウンドさえも忘れたり無かったことにしていたのでは?と作者は問いかける。

教訓と思しき教訓は拾えた気がするけど、望みを叶えることよりもいかなる時もあるがままの自分を愛し抜くことの方が一生かかっても難しい課題かもしれないと今の自分は思っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月21日
読了日 : 2021年10月21日
本棚登録日 : 2021年10月21日

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