タイトルと装丁に魅かれたのと「文科系トークラジオLife」で紹介されていたのを微かに記憶しており、読んでみた。
読んでみて、タイトルから想像したほどの大仰な集団が組織されたわけではないし、その集団が社会に強烈な影響を与えたというような物語があったわけでもなかったので、少し拍子抜けした。ただ当時の全生研が推し進めた「学級集団づくり」が排除の倫理に基づく危険な思想をベースに実践されていたことには素直に驚いた。また「追求」と称して体制に反する者に自己批判を要求する行為を小学生が自発的に行っていた事実は、イデオロギーを強制的に押し付ける教育の怖ろしさを痛感した。
「学級集団づくり」の一つの要素であった「班競争」は現在流行しているゲーミフィケーションの問題点も提起していると思う。滝山コミューンの行った集団主義教育に対して批判的な立場で書かれた本ではあるが、その全てを否定するものではなく現在の教育がまた別の危険な思想を根底に持っている可能性があることも考えさせられる。
教育関係者には現在の教育の位置を確認するためにも、ぜひ一度手にとってもらいたい一冊。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年9月6日
- 読了日 : 2012年9月6日
- 本棚登録日 : 2012年9月4日
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