対岸の彼女

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年11月9日発売)
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本棚登録 : 3664
感想 : 622
5

現在と過去の高校時代の場面の切り替えがとても巧い。
混乱することなく、スムーズに読み進められる。

ナナコは、『何もこわくなんかない。こんなところにあたしの大事なものはない。いやなら関わらなければいい。』と強い女の子の印象だが、実際は帰りたくないと泣き出し、葵と逃避行してしまう女の子。
悲惨な境遇ゆえ学校では、どこにも属さないピエロを演じていたようだ。
そんな不思議系ナナコには、好感を抱いた。

葵の父親のグッドジョブな計らいで、再び渡良瀬川での再会のシーンは、嬉しいはずなのにどことなく永遠の別れを予感させる。

高校時代、 夏休みの伊豆でのアルバイトと、現在の掃除の仕事、そして小夜子と葵との関係は重なり合うものがある。

一人の人生ってそんなふうに、繰り返し繰り返し似たような相対関係が在るものなのかなと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ♪女流作家
感想投稿日 : 2013年5月13日
読了日 : 2013年5月13日
本棚登録日 : 2013年5月13日

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