ポプラの秋 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1997年6月30日発売)
3.72
  • (305)
  • (385)
  • (569)
  • (35)
  • (9)
本棚登録 : 3084
感想 : 346
4

私がおばあちゃんになるまで大好きだと言い続けるであろう「夏の庭」の湯本香樹実さん作品。
最近秋めいてきたので、よし!とページを開く。

夫を失ったばかりで虚ろな母と7歳の主人公の、ポプラ荘でのおばあさんや住人との交流。

「おばあさんがあの世に行く時に郵便してもらう」為に書き溜めた亡くなった父への手紙。

静かで、物哀しい雰囲気が漂うけど(秋という季節がそう思わせるのかも)、とても穏やかで優しい気持ちになる。不思議とすっと心が落ち着くような。好きだなぁ。

千秋に強迫性障害の症状が出た時(はっきりと書いていないけれど)、比喩表現に身に覚えがあり過ぎて、幼い自分と重ね合わせてしまった。
私も「家族に何かがあったらどうしよう、悪いことが起きたらどうしよう」という緊張から始まったような気がする。


焼き芋の場面好きだなぁ。焚き火の煙の匂いを思い出した。もう少し寒くなってから読んでも良かったかもしれない。
ああ、もうすぐ大好きな秋本番だな。

夏は「夏の庭」、秋は「ポプラの秋」。季節の節々で湯本香樹実さんを読み返したくなるんだろうな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月18日
読了日 : 2023年9月18日
本棚登録日 : 2023年3月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする