ぼくには数字が風景に見える

  • 講談社 (2007年6月13日発売)
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感想 : 225
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 自閉症スペクトラムである著者の回想録。
 発達障害の方の就労支援をしているのもあるので、著者の見ている世界や困難には共感ができる。

 日本と違うなと思ったのは、周りの人々、社会に理解があるなぁということ。
 発達のでこぼこの度合いにもよるけれど、著者には海外での一人暮らし、ボランティアの経験する機会があった。それを経て、成長していく点。こうして自由にはばたくことができずに苦しんでいる人も知っている。それができるのは親や、社会の理解があるからだなぁと思った。

 人の気持ちに思いを向けることが苦手であるのが発達障害であるけれど、そんな著者が結婚することで、変わっていくところに深く心が動いた。

 人を好きになるということ、人から愛されることで、自分自身を受容することや相手を理解することができていく。自分の周りの世界ももっと見えるようになっていく。

 大人になった著者は自分の弟(アスペルガー症候群)との関わりに悩む母親に、自分自身を知る模索の過程だから、見守っていればよいということを言う。
 その模索の過程が、障害特性上、周りには分かりにくいこともある。だから、周りはその人の行動を理解できなかったりする。変わっていける可能性があるということに、周りは気づかないものかもしれない。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 障碍者支援・福祉
感想投稿日 : 2014年11月24日
読了日 : 2014年11月24日
本棚登録日 : 2014年11月24日

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