街場のメディア論 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2010年8月17日発売)
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本棚登録 : 3657
感想 : 474
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本好きが本棚に並べているのは、いま読む必要がある本ではなく、いつか読めるようになることを希望している本である。という内容が印象に残った。たしかに私やお父さんを見ても、本棚にある本をすべて読んでいるわけではない。「この人は、こんな難しそうな本も読んでいるんだ」と思われたい、とまでは、私はまだ思っていないが、その考え方も面白かった。

著作権についての話も、長く書いてあった。本そのものに価値が内在しているのではなく、受け取った人が「これには価値がある」と思ったときに初めて価値が生まれる、という話。本に限らずコミュニケーションや経済活動の根本はそのような様相らしい。よって、内田さんは本をタダ読みすることも否定しない。むしろ、それを否定する人たちを否定する。本を商品として、読者を消費者としてしか見ていないからこそ、そんな発想になるのだ、と。

本が売れないようになったからと言って、本を読みたい人が減ったわけではないともある。これは、紙の本を守りたい私からしても、心強い言葉だ。しかし私も本をタダ読みすることへの抵抗感が若干あった。読ませてもらっておいて、払わないなんて、と。しかし無料で読書する人を、もう責めまい、と思った。払う必要があるかどうかは彼ら自身が決めて良いことなのだ、きっと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年8月14日
読了日 : -
本棚登録日 : 2020年8月14日

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