新書402 やりがいのある仕事という幻想 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2013年5月10日発売)
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タイトルにひかれて読みました。私は同じ仕事を25年続けていて、正直言って、つらいことの方が多い。それでも、「やりがいがある」と信じて続けてきた。だけど頭のどこかで、そんなの幻想だということも分かっていた気がする。そして、給料のために我慢する、とも考えている。
本書は、現代社会では「仕事(職業)」が非常に重要視されて、どんな仕事に就いているかで人間が評価されたり、希望する仕事に就けなかったら(就職できなかったら)人生終わり、みたいになりがちだが、そんなことは全くない!ということを淡々と述べている。考えてみたら当たり前のことなのだが、仕事をしないと(働かないと)生活ができない以上、仕事は人生の中で重要なウェイトを占めてしまうのは仕方がない。逆に言えば、生活できるのであれば働かなくてもいいじゃないか、働くことがそんなに重要なのか?ということだ。
著者は「すべてがFになる」でベストセラー作家になり、今は一生懸命働かなくても生活できるから、1日1時間だけ執筆活動をして、あとは好きなことをして暮らすことにしているらしい。残念ながら読んだことなかった(もちろんこれから読みまくります!)。
どうやったら小説家になれますか?と聞かれるらしい。小説を書けばいいじゃないか、と思うらしい(笑)。書きもしないで悩む人が多いらしい。わかるわ~。目の前の仕事を一生懸命にやり、好きなことに夢中で打ち込み、ある意味社会的に成功している人(自分では特に成功した!とは思っていないが人からそう思われている人)からすると、何もやってみもしないでただ悩んでいるようにしか見えない。
本書を読んで、好きなこと、やりたいなと思ったことは、いろいろ言い訳しないでまずやってみよう!と思えた。できない言い訳を考えている間は、それは本当にやりたいこととは言えないということだ。「〇〇したいのに…だからできません」などと悩むなら、それは本当にやりたいこととは言えない。本当にやりたいなら、どんな障害があってもやるはずである。
私はフルタイムで働き、持ち帰り仕事や休日出勤も多いが、昨年、娘と一緒に子供のころからあこがれていたピアノを習い始めた。練習する時間なんてないかもしれない、100万近くする本物のピアノを買って、後悔するかもしれない、と悩んだが、買ってみると、初めて触れる本物のピアノは楽しくて、1日10分くらいしか弾けなくても、楽しくて仕方がない。子供のころはエレクトーンを習っていて楽譜は読めたが、軽い鍵盤に慣れていたのでどうしてもピアノが弾けなかった。今になって、ピアノが弾けるようになって、始めて良かったと心から思う。何歳になっても、新しく好きなことを始めるってなんて楽しいことなんだろう。
読書好きの友達で、あることにチャレンジしてみようと思っている、と話していた人がいて、この本をお勧めした。ぜひ一歩踏み出してほしいな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2023年2月10日
読了日 : 2023年2月10日
本棚登録日 : 2023年2月10日

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