薫や剣心の掲げる「不殺」の誓い(薫が師範代を務める道場も、「人を活かす剣」がコンセプト)。
そんなの現実味のない甘ったれた綺麗事だ!ということを度々各方面から言われます。
でもその度に剣心は、たとえ綺麗事でもそれがいいんだ、それを目指すんだ、ということを語るのですが、なんだか憲法九条の議論と重なるなあ、と思って読んでいます。
以下、大まかな備忘メモ。
■斬左編
・左之助が仲間に。左之助は少年時代、赤報隊にいた。
・赤報隊は鳥羽伏見の戦いのあと結成された草莽部隊。維新政府の布告した年貢半減令を宣伝しながら諸藩の官軍への協力を促す働きをしたが、その後財政難の官軍に「偽官軍」として切り捨てられ、隊長であり左之助の心の師である相楽総三は斬首、晒し首。という実在の事件が背景に。
・左之助はそういうわけで維新志士を恨んでいる。剣心にもそういう事情で戦いを挑むが、戦闘&語りにより、剣心は口先だけのイカサマ維新志士とは違うぞと。
・左之助の背中の悪一文字は、悪者にされた赤報隊という忘れられない過去の象徴。
■黒傘編
・鵜堂刃衛という狂った人斬りが敵。刃衛は元新撰組隊士で維新志士を何人も斬ったが、不要の殺人も繰り返したため隊内で粛清されそうになるが、逆に返り討って新撰組を逃走。その後維新志士側の人斬りとして登場。明治になった今は、栄職に就いている元維新志士を次々と狙う殺人鬼として恐れられている。あるのは殺人欲だけ、という男。
・こいつとの戦いの場に、ヒロイン薫が剣心を心配するあまり来てしまう。まんまと危険にさらされ剣心怒りのボルテージ急上昇。不殺の誓いを破りそうになる。
・人を守るために剣を振るう優しい剣心を好きな薫は、自分を守るために目の前で「人斬り抜刀斎」に戻ってしまいそうな剣心に向かって「アカン!」と(標準語で)叫ぶ。それによって、薫にかかっていた術の仕組みの絡みとかもまあ色々あったりして、剣心も不殺の剣心に戻る。
・剣心との戦いで既に右手を使えなくなってる刃衛は自害。その際、自分が昨今行った殺人も、実は政府の要人からの依頼によるものであることを吐露。かつてのようにおおっぴらに殺人はできないけれども殺したい人はたくさんいる維新政府と、殺人の虜になってしまっている刃衛との利害が一致してのこと。うわべだけは平和で平等かもしれないが、世の中なにも変わっちゃいないし、人斬りも死ぬまで人斬りなのさ、という刃衛の今際の言葉。
- 感想投稿日 : 2015年9月2日
- 読了日 : 2015年9月2日
- 本棚登録日 : 2015年9月2日
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