本作品は『悪童日誌』『ふたりの証拠』に続く、アゴタ・クリストフ三部作の完結編
しかし話は完全に繋がってはいない
ベルリンの壁の崩壊後、双子の一人が何十年ぶりかに思い出の地に帰って来る
彼は何十年も前の「あのこと」から別れたままの兄弟を捜し求める
そして、双子の兄弟がついに本作品で再会を果たす
読み進めているうちに何が真実で、何が創作か全くわからなくなるが、もうそんな事はどうでもよくなる
双子の一人リュカは自分を捨てた母を捜し、もう一人のクラウスを捜した
自分を愛してくれる存在、自分への愛を求めた
自分はリュカであり、クラウスでもある
一方のクラウスは母が起こした「あのこと」により、リュカが行方不明になったことを知る
その際、母とも生き別れるが母を探し出し一緒に暮らす
しかし母は、自分のせいで行方不明になったリュカのことばかりを思い続け、愛していた
そんな母に愛されたかったクラウス
クラウスにとってリュカは、愛しさと憎しみが混在した存在だった
大切な人達の死、愛されたい気持ち、苦しい思い、どうにもならない絶望的な気持ち
同じ人間なのに、こんな悲しい人生もあるんだと思うと胸が痛い
とても悲しい愛と、愛するが故の憎しみの物語
読了後も心に残る作品
再読したらまた違うかもしれないが、ちょっと悲し過ぎるかな
三部作とも間をあけずに続けて読むことをおすすめします
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月23日
- 読了日 : 2023年3月23日
- 本棚登録日 : 2023年3月1日
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