新装版 播磨灘物語(2) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739337

作品紹介・あらすじ

官兵衛は信長に新時代が出現しつつあるというまぶしさを感じていた。「だからこそ織田家をえらんだ」のだ。信長に拝謁した官兵衛は、「播州のことは秀吉に相談せよ」と言われ秀吉に会う。秀吉は官兵衛の才を認め、官兵衛も「この男のために何かせねばなるまい」と感じた。ふたりの濃密な関係が始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 播磨灘物語(2)「新装版」 
    2004.01発行。字の大きさは…小(字の大きさは、中であるが字が薄いので小)

    此度は、天正3年(1575年)、播磨の小寺家の筆頭家老・黒田官兵衛は、時代の趨勢を読み、織田信長に会うため岐阜に向かって行くところから、天正6年(1578年)10月、信長旗下の摂津の大名荒木村重が謀反を起こし信長が自ら討伐に向かうまでです。
    羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)の軍師・竹中半兵衛と共に黒田官兵衛は、播磨攻めで一緒に秀吉に対して献策をする。竹中と黒田の両軍師をのちに両兵衛といわれる。

    【読後】
    秀吉が、自分よりある面において優れた洞察力と交渉力などを持つ官兵衛に嫉妬をするくだりが所々に出て来て、面白みと、将来の危険が見える……。また、秀吉が、まことに細かく信長に気を配って仕えている様があり、いかにして信長に不信を懐かれないように、気を配ったかが分かる巻でした。

    【豆知識】
    「両兵衛(りょうべえ)」とは、豊臣秀吉(羽柴秀吉)に仕えた2人の軍師・竹中重治(半兵衛)と黒田孝高(官兵衛)を指した名称で、二兵衛(にへえ)とも呼ばれる。しかし、この2人が同時に秀吉に仕えた時期は播磨攻めの短い期間でしかなかったこともあったため、後世になって呼ばれた呼称といわれている。

  • 第2巻は、官兵衛が小寺家の家老として織田方へ与するべく、その策謀の才と胆力を発揮し、時代の表へと進出する。そして、その才能においてお互いに認め合う秀吉との、心の内を読み合う記述などは、著者ならではの小説の醍醐味となっている。
    著者はさらに、官兵衛になくて、秀吉にあるのが嫉妬心だと
    記す。その相違が、その後の官兵衛に辛苦をもたらす。
    司馬遼太郎の小説に登場する歴史上の人物は、読者にその傍らにいるかのような親近感を抱かせ、歴史上の役割以上の輝かしい存在を与えられる。
    もちろん、歴史に登場する人物は、それぞれひとかどの人物であることは間違いない。司馬は、それらの人物をさらに魅力的に描いて、それが小説の魅力でもあるが。
    『竜馬がゆく』の坂本竜馬など、その典型だろう。司馬の小説以前の竜馬は、幕末の志士の多数の中の一人でしかなかったはず。それが今では、幕末最大のヒーローとなっている。
    本作での、黒田官兵衛もそれに類するといえるかも。

  • 播州を毛利と織田で取り合う様。そこには戦わずして勝つ「調落」があり、いかに敵を味方に寝返らせるかに駆け引きがある。「調落」が失敗した場合に合戦になるのであって、むやみに戦っていたわけではない。「毛利か織田か」で迷う荒木村重。本編とはほとんど関係ないが、病気で死期の迫った竹中半兵衛に関する記述がある”「人の命は短い。ようやく一事がなせるのみ。一事のほかは私はやらない」日常すべを武辺という主題に置き、その他は余事だ、、、、武辺が成功する場合、恩賞がつくその恩賞を考える事も余事であり、恩賞をあてにして武辺をなすことは武辺のけがれである” 「死もまた余事か」と官兵衛。同じく武辺の人、官兵衛の今後の活躍に期待。

  • 官兵衛が信長に初めて拝謁、政情不穏な播磨への派兵を懇願する。信長曰く〝播州のことは、近江長浜城の藤吉郎(秀吉)に申し継ぐ〟と下知された。以来、風雲急を告げる播磨での政治工作に身を挺することになった官兵衛は、秀吉と小寺藩主との仲介に苦心しながら、上月城の包囲戦、三木城攻め、毛利勢との抗戦に明け暮れる。そういう事態のなかで、信長の忠臣であった摂津の荒木村重による謀反の知らせが舞い込む。官兵衛の忸怩たる思いが、頂点に達すると感じさせられる大波乱の第二巻であった。

  • 官兵衛拖著半推半就的小寺向織田靠攏,小寺不願出人質,官兵衛還把自己的獨子松壽丸獻給安土當人質。在他的催促下,秀吉帶兵來到播州(但因為是自己的兵不是整個織田大軍,因此一開始播州豪族就有點輕視他的傾向),官兵衛也將姬路城獻給秀吉,這是秀吉成為大名之後第一次負責的方面。然而播州其他大名特別是最大的三木城別所家其實還是跟毛利眉來眼去,而且他們還是相當古風以人的血統出身來評判人,因而對秀吉格外不齒,加上播州當地本願寺門徒主張強烈(姬路城旁邊有港它們也不能用,海上都是英賀門徒把持住,與毛利強大的水軍攜手,與本願寺結成聯合戰線),認為織田是佛敵,許多當地大小名為了安撫門徒也只能傾向如此,最終別所長治(主要是叔父別所賀相執政,他和弟弟重棟交惡重棟奔秀吉陣營)在秀吉的加古川評定之後決定叛離,因此播州多半也是倒向毛利,小寺帶著被毛利別所夾擊的恐怖對官兵衛讓他靠織田側非常不悅,但硬被官兵衛以毛利家宇喜多可能有判心為由給鎮住,

    兵略向來極其慎重的毛利出動大軍,秀吉在播州只有七千五百因此不斷向信長求援,結果毛利家大軍卻只有包圍尼子家殘黨的上月城,織田家大軍到達但在山間部也不好開展,加上信長方針決定捨棄上月城(但秀吉礙於若捨棄鹿之介等人之後可能其他要來投靠的人會有疑慮因而還是得駐軍做個樣子),毛利家在攻下上月城之後就退兵了,織田家大軍開始清掃播州小土豪,將三月城留給秀吉包圍。信長的方針是敵方可用之人則可以進行調略,若非如此則是直接戰勝輾壓,而他相當不信任以利益、金錢取向的人,因此禁止向宇喜多直家調略,但官兵衛和秀吉還是繼續弄,弄到有眉目(宇喜多那邊派來的是他信得過的商人兒子小西彌九郎)後去安土報告信長震怒不見秀吉,然而隨後發生六大軍團長之一的荒木村重疑似判變事件,顧不了宇喜多了。

    信長高度肯定官兵衛的才能,來到播州之後信長借給秀吉的寄騎半兵衛,終於找到同類也感到很高興,半兵衛心中只有武邊,官兵衛也是無欲之人,兩人相當合拍,但秀吉也開始感到忌妒的苦澀,因為織田家一直以來沒有策士,主要由信長在策畫。秀吉侍奉信長由於信長要求無私不貪,因而他全心全意地拼命為信長工作信長也高度肯認他的無私,而其他同僚因為本來就都是在他上位因而他也沒有忌妒之心。然而現在邁入四十感到衰退的他看到奇策綜橫的官兵衛而且比他年輕還在三十,而且也比他有教養多了。半兵衛則早已感覺到秀吉對自己的猜忌。這段大概已經在鋪下日後豐臣政權官兵衛的命運了。

  • 官兵衛と秀吉が会う。官兵衛は秀吉と信頼関係を築きつつ、秀吉に過ぎたるところは見せない。秀吉も信長に対しては同様。現代にも通じる処世術だな、と感じる。

  • 播磨の状況,というのが実はよく分かってなかったことを認識した。
    山陽道がどこをどう通ってて,どこが宿場町だったのかすら理解してない自分がいる。

  •  戦争、政治という諸価値の入りまじったややこしい事象を、官兵衛は心理というものに帰納して考えようとする。
     心理という、このあたらしい言葉で彼の行き方を解こうとするのは、用語として粗雑の気味もあるが、要するに官兵衛は、ひとの情の機微の中に生きている。ひとの機微の中に生きるためには自分を殺さねばならない。
    (私情を殺せば、たいていの人の心や物事はよく見えてくるものだ)
     官兵衛は早くから気づいていた。官兵衛に私情があるとすれば、一つしかない。が、平素は忘れている。むろん、かれの父親にも洩らしたことがなく、かれ自身、真剣にそれを考えてみるということなどもなく、要するに、いまの日常からいえば桁の外れたことなのだ。
     官兵衛はおそらく、みずからそれを思うときでも、ひそかにはにかまざるをえないであろう。つまり、天下を得たいということなのである。天下を得て志を万里のそとに伸ばしたいというのはこの時代の男どもがおおかた抱いていた鬱憤であり、当然なことながら官兵衛だけのことではない。官兵衛の場合は含羞(はにかみ)をもってそれを思うだけである。

  • だんだん岡田くんの官兵衛に追いついてきた。 これまで国盗物語や真史太閤記読んできたが、そこには出てこなかった信長や秀吉のストーリーがあって、それぞれ興味深かった。 竹中半兵衛、カッコイイ!

  • 知っている地名などが多く登場して、ともて親近感を持ちながら読めた。

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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