スギハラ・ダラー

著者 :
  • 新潮社 (2010年2月25日発売)
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本棚登録 : 418
感想 : 54
3

先日映画にもなった杉原千畝のエピソード。
杉原は外務省の諜報員の役目を担いながらも、
ナチスのユダヤ人迫害に憤慨し、
彼らの国外脱出のために日本へのピザを発行し続けました。
彼によってナチスの手から逃れられたユダヤ人たちは数多く、
スギハラの名前は
ユダヤ人たちの間では救世主のように知れ渡っているそうです。

この作品は杉原のことを織りまぜながらも、
杉原によって日本へ逃れられたユダヤ人の少年アンドレイと
孤児の日本人の少年松山雷児との友情が中心になっていました。
1939年、アンドレイと雷児、
それにアンドレイと一緒に逃げて来た美少女ソフィアの3人は
太平洋戦争が間近にせまる
日本の神戸の地でささやかな友情を育てます。
やがてそれぞれの運命に従って
アンドレイはアメリカへ渡り、ソフィアは上海へとのがれます。
雷児はソフィアを守るために、単身上海へと渡りました。
それから物語は2008年にまで飛躍します。
アンドレイと雷児、2人は国際金融の世界を生き抜いていました。
北朝鮮の偽ドル札を暴いたスティーブンらは
株式市場が大暴落するたびに、
その裏でうごめく黒い影に気が付きました。
彼らの運命の糸は2008年秋、リーマン・ショックで交差することに・・・。

神戸で培った少年たちの友情が、
年月を経て経済界の裏に影を落とします。
経済の仕組みなどに疎い私には
少し難しい話の流れとなりましたが、
幼い頃からの少年たちの友情が大きく育っていたことに
驚きと安堵感を持ちました。

知っている名前と地名も出てくる小説でしたが、
経済小説はやはり難しいなぁというのが正直な感想です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年3月12日
読了日 : 2016年3月12日
本棚登録日 : 2016年3月12日

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