これまでも優れた対談集を読んできた.その中でも素晴らしい対談集に本書は入る.本書に合わせて,これまで読んだ中でいいなと思う対談集は「吉本隆明対談選」「今西錦司の世界(残念ながら絶版)」.
小林秀雄対話集の中で特に秀逸だったのが青山次郎との対話,大岡昇平との対話,三島由紀夫との対話,江藤淳との対話,田中美知太郎との対話.見てわかる通り,ゲスト自体が超大物.小林秀雄の対談の特徴は対談相手の知的水準,教養が群を抜いて高いこと.
例えば,ごく普通のレベルの(例えば村上龍と誰かの対談)対談をトータルポイント100(村上 vs. 対談相手 : 60vs.40→100)とすると,
吉本隆明の対談集だと 吉本 vs. 対談相手 : 150vs.100→300
といった感じで相乗効果でもって,ぶっちぎった面白さになる.
ところが小林秀雄だと 小林 vs. 対談相手 : 150vs.150→300
という形になる.相乗効果というものについてははっきり言ってダメだ.個人が適当に話を合わせながら自分の意見を語ってるだけ.でも,個人の力がオニなだけに,凄まじい対談になっている.
一方で面白いのが今西錦司. 今西 vs. 対談相手 : 200vs.60→260
って感じ.今西錦司という人はともかくすごい.ぶっちぎっている.書き表すことができないほどともかくぶっちぎっている.
小林秀雄対話集,吉本隆明対談選,今西錦司の世界 この3冊はオススメだ.ただしちょっと込み入った難しい話は眠くなっちゃう,という人にはお勧めしないけど.
- 感想投稿日 : 2012年2月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年2月29日
みんなの感想をみる