小林秀雄対話集 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年9月10日発売)
3.75
  • (12)
  • (15)
  • (19)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 193
感想 : 12
4

これまでも優れた対談集を読んできた.その中でも素晴らしい対談集に本書は入る.本書に合わせて,これまで読んだ中でいいなと思う対談集は「吉本隆明対談選」「今西錦司の世界(残念ながら絶版)」.

小林秀雄対話集の中で特に秀逸だったのが青山次郎との対話,大岡昇平との対話,三島由紀夫との対話,江藤淳との対話,田中美知太郎との対話.見てわかる通り,ゲスト自体が超大物.小林秀雄の対談の特徴は対談相手の知的水準,教養が群を抜いて高いこと.

例えば,ごく普通のレベルの(例えば村上龍と誰かの対談)対談をトータルポイント100(村上 vs. 対談相手 : 60vs.40→100)とすると,

吉本隆明の対談集だと 吉本 vs. 対談相手 : 150vs.100→300

といった感じで相乗効果でもって,ぶっちぎった面白さになる.

ところが小林秀雄だと 小林 vs. 対談相手 : 150vs.150→300

という形になる.相乗効果というものについてははっきり言ってダメだ.個人が適当に話を合わせながら自分の意見を語ってるだけ.でも,個人の力がオニなだけに,凄まじい対談になっている.

一方で面白いのが今西錦司. 今西 vs. 対談相手 : 200vs.60→260

って感じ.今西錦司という人はともかくすごい.ぶっちぎっている.書き表すことができないほどともかくぶっちぎっている.

小林秀雄対話集,吉本隆明対談選,今西錦司の世界 この3冊はオススメだ.ただしちょっと込み入った難しい話は眠くなっちゃう,という人にはお勧めしないけど.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 何度も読みかえしたもの
感想投稿日 : 2012年2月29日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年2月29日

みんなの感想をみる

ツイートする