ずいぶん前に、『子どもを殺してくださいと言う親たち』を読んだ。
本作は、第1章のドキュメントの分量が多く、重篤な患者と家族の問題が綴られている。
心が壊れていった子どもたちを育んだ家庭には、見えにくい闇が潜んでいる。
様々な問題を抱えた家庭の子どもが必ずしもそうなるわけではないことは明記しておくが、やはり、等身大の自分を受け入れてもらえないであるとか、親の価値観を押し付けられ続けるであるとか、本来与えて然るべきの愛を受けられなかったことに大きな原因がある。
ただし著者は、親に責任を全て求めてはいない。
親の生育歴(地域社会や家庭環境)のほか、変化し続ける社会全体に、問題の根源があることを指摘している。
患者やその家族が関係機関をたらい回しになり、結局適切な治療や支援を得られていない現状を理解することができた。
相談機関を一本化することや、移送のスペシャリスト集団の設立などの提言もあった。
本人たちの苦しみだけでなく、地域住民の苦しみや悲しい事件事故をなくすためにも、国や地方自治体は動くべき時がすでに来ている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2019年8月15日
- 読了日 : 2019年8月15日
- 本棚登録日 : 2019年8月15日
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