2001年宇宙の旅 [DVD]

監督 : スタンリー・キューブリック 
出演 : キア・デュリア  ゲイリー・ロックウッド  ウィリアム・シルヴェスター  ダニエル・リクター 
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感想 : 190
4

コンピュータの造反が衝撃的な壮大な宇宙スペクタクル。内容はともかく映像美と音楽だけでも傑作です。しかし、メッセージは難解です。
例えば、ラストシーンの解釈:
ボーマン船長の旅のストーリーの結末をどうするのか、ラストシーンは脚本草稿の段階で、アーサー・C・クラークによって複数のパターンがキューブリック監督に提案されたが、いずれも監督の納得のいくものではなく、いくつものアイデアが却下された(『ボーマンが異星の宇宙船の傍らに立っている』や『信じられないほど優美なヒューマノイドと出会い旅立っていく』など)。
『何回書き直し、何回行き詰まったか、数えることもできない。かなり落ち込んでいる』と当時の状況を著書『失われた宇宙の旅 2001』の中でクラークは書いている。最終的には『ボーマンが子供へ逆行し、結末では赤んぼうとなって軌道上に浮かぶ』というアイデアが採用されることに帰着した(『失われた宇宙の旅 2001』より)。
クラークの小説『2001年 宇宙の旅』では結末は『モノリスから、人間を含む多くの種族が誕生したのだ』となっている。これはつまり、「究極に進化した地球外生命体の“遺物”であるモノリスにより、人間は太古の昔より進化をしてきたが、今度は人間が(ボーマン船長が)肉体を離れて精神のみの生命体へとさらなる進化をする。宇宙にいる多くの種族がそうして進化をしてきたように、人類もようやくその仲間入りをし、宇宙の一部になったのだ。それが地球外生命体の目的だった。」という結末であり、それを「宇宙空間に胎児の姿で浮遊する」というビジュアルで表現したものであった。
(その後のボーマンの“エネルギー生命体”としてのストーリーは、続編の小説『2010年 宇宙の旅』、『2061年 宇宙の旅』、『3001年 終局への旅』へと続く。ちなみに、モノリスの主人である地球外生命体「魁種族」は、『3001年 終局への旅』では、数百光年彼方に存在するとしている。)
当初クラークは、難解なストーリーの内容の観客への理解を促すために、映画全編にわたって説明用のナレーションを多数書き上げていたが(脚本にはナレーションが記載されている)、映画ではそれらは全く使われることはなかった。「言葉で説明をしてしまうと、せっかくの未知の世界との遭遇が、陳腐なものになってしまうから」とキューブリックは判断したのだ。しかし、ラストシーンを含め、それでも、映像だけでこの本来のストーリーを解釈するには、説明不足の感は否めない。映画以外の資料を参照して、初めて本来の脚本の起承転結を理解できる。(ウィキペディア)

本作の反響について:
公開当時、台詞や説明を極力省き、視覚表現で観客の意識に訴えるという作風は極めて斬新であった。映像のクオリティーや「人類の進化と地球外生命の関係」という哲学的なテーマを賞賛する声の一方、抽象的な内容や非常に難解な結末を批判する意見もあり、賛否の渦が巻き起こった。それでも、公開当時の1968年における年間世界興行収入で1位を記録。現代では映画史におけるSF映画の古典として認識されており、日本の文部科学省が「特選」に指定している、唯一のSF映画としても知られている。作家 レイ・ブラッドベリは本作試写を観た後、映像美を褒めながらも「クラークはクーブリックにレイプされたんだ」と評した。このブラッドベリによる評を人づてに聞いたクラークは「それは違う、レイプされたのはお互い様だったんだよ」とシニカルなコメントを残している。
初公開の年の暮れ、1968年12月、アポロ8号が史上初めて有人で月の裏側を廻って帰還したが、その時撮影された月面入れ込みの地球の写真が本作のそれにそっくりで、改めて本作の特撮のクオリティが示された。また、そのアポロ8号の船長の名がフランク・ボーマンで、本作の登場人物のふたり、フランク・プールとデヴィッド・ボーマンを合成したような名前であることが、偶然とはいえ話題になった。
公開時からオールタイムで本作品は高く評価され続けている。1991年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。
映画史上のベスト・ランキング、オールタイム・ベストなどでは、必ずと言っていいほどランクインしている。

「映画史上最高の作品ベストテン」(英国映画協会『Sight&Sound』誌発表)
1972年:「映画批評家が選ぶベストテン」第18位
1982年:「映画批評家が選ぶベストテン」第12位
1992年:「映画批評家が選ぶベストテン」第10位
1992年:「映画監督が選ぶベストテン」第13位
2002年:「映画批評家が選ぶベストテン」第6位
2002年:「映画監督が選ぶベストテン」第12位
2012年:「映画批評家が選ぶベストテン」第6位
2012年:「映画監督が選ぶベストテン」第2位
「AFIアメリカ映画100年シリーズ」
1998年:「アメリカ映画ベスト100」第22位
2001年:「スリルを感じる映画ベスト100」第40位
2003年:「ヒーローと悪役ベスト100・悪役部門」第13位(HAL 9000)
2005年:「アメリカ映画の名セリフベスト100」第78位
2006年:「感動の映画ベスト100」第47位
2007年:「アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)」第15位
2008年:「10ジャンルのトップ10・SF映画部門」第1位
2000年:「20世紀の映画リスト」(米『ヴィレッジ・ヴォイス』紙発表)第11位
2008年:「歴代最高の映画ランキング500」(英『エンパイア』誌発表)第16位
2008年:「史上最高の映画100本」(仏『カイエ・デュ・シネマ』誌発表)第43位
2010年:「エッセンシャル100」(トロント国際映画祭発表)第26位
2013年:「オールタイムベスト100」(米『エンターテイメント・ウィークリー』誌発表)第25位

以下は日本でのランキング
1980年:「外国映画史上ベストテン(キネマ旬報戦後復刊800号記念)」(キネマ旬報12月下旬号発表)第2位
1988年:「大アンケートによる洋画ベスト150」(文藝春秋発表)第7位
1989年:「外国映画史上ベストテン(キネ旬戦後復刊1000号記念)」(キネ旬発表)第1位
1995年:「オールタイムベストテン・世界映画編」(キネ旬発表)
プロフェッショナル選出 第3位(1位は『七人の侍』なので洋画では第2位)
読者選出 第1位
1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第2位
2009年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・外国映画編(キネ旬創刊90周年記念)」(キネ旬発表)第7位

『2001年宇宙の旅』(原題:2001: A Space Odyssey)は、スタンリー・キューブリックが製作・監督した、1968年の叙事詩的SF映画である。脚本はキューブリックとアーサー・C・クラークによって書かれ、クラークが1951年に発表した短編小説「The Sentinel」やその他のクラークの短編小説に触発されたものである。映画公開後に発表された小説は、脚本と同時進行で書かれた部分もある。実存主義、人類の進化、科学技術、人工知能、地球外生命体の可能性などをテーマに、異星人のモノリスを発見した後、感覚を持つコンピューターHALと共に木星に向かう航海を描いた作品。
この映画は、科学的に正確な宇宙飛行の描写、先駆的な特殊効果、曖昧なイメージで注目されている。キューブリックは、従来の映画や物語の手法を避け、台詞はほとんど使わず、音楽だけの長いシークエンスがある。サウンドトラックには、リヒャルト・シュトラウス、ヨハン・シュトラウス2世、アラム・ハチャトゥリアン、リゲティ・ジェルジュなどのクラシック音楽が多数使用されている。
この映画は、暗い終末論的なものから、人類の希望を再評価する楽観的なものまで、様々な評価を受けた。アカデミー賞では4部門にノミネートされ、キューブリックは視覚効果の演出で受賞した。この作品は、これまでに作られた映画の中で最も偉大で、最も影響力のある作品の一つとして広く知られている。1991年には、米国議会図書館によって「文化的、歴史的、美学的に重要」とみなされ、アメリカ国立フィルム登録簿に保存されることになった。
あらすじ:
人類の夜明け(THE DAWN OF MAN)
人類が文明を築く400万年前(小説版では300万年前)、ホモサピエンスの祖先であるヒトザルが、荒野で飢えに苦しみながら生存競争を闘っていた頃。ある日、ヒトザルたちの前に黒い石板のような謎の物体「モノリス」が出現し、サルたちは驚きながらも恐る恐るそれに触れる。やがて一体のヒトザル(月を見るもの)がモノリスの知能教育により、動物の骨を道具・武器として使うことに目覚め、獣を倒して多くの肉を食べられるようになる。ヒトザルたちは、水場をめぐって対立する別のヒトザルの群れにも骨を武器として対戦し、敵のボスを殺害する。水場争いに勝利した「月を見るもの」が、歓びのあまり骨を空に放り上げると、これがカットつなぎで一瞬にして最新の軍事衛星に変わる(人類史を俯瞰するモンタージュとされる)。
月に人類が居住可能になった時代。アメリカ合衆国宇宙評議会のヘイウッド・フロイド博士は、月のティコクレーターで発掘された謎の物体「TMA・1」(Tycho Magnetic Anomaly, ティコ磁気異常1号)、通称「モノリス」(一枚岩)を極秘に調査するため、月面クラビウス基地に向かう。途中、宇宙ステーション5(小説版では「宇宙ステーション1号」)でソ連の科学者たちに会い懇談するが、「クラビウス基地が閉鎖されているが、いったい何が起きているのか」と質問され、フロイド博士は回答を拒む。
月面基地に着いたフロイド博士は、会議室で今回の事態の重要性について訓示し、TMA-1の発掘現場へ向かう。調査中、400万年ぶりに太陽光を浴びたモノリスは、強力な信号を木星(小説版では土星)に向けて発した。TMA-1は、あのヒトザルたちが月に到達するまでに進化したことを告げるセンサーだったのだ。

木星使節(JUPITER MISSION)
18か月後、宇宙船ディスカバリー号は木星探査の途上にあった。乗組員は船長のデヴィッド・ボーマンとフランク・プール隊員、出発前から人工冬眠中の3人の科学者と、史上最高の人工知能HAL(ハル)9000型コンピュータであった。
順調に進んでいた飛行の途上、HALはボーマン船長に、この探査計画に疑問を抱いている事を打ち明ける。その直後、HALは船のアンテナ部品=AE35ユニットの故障を告げるが、ボーマンがユニットを回収して点検すると、問題は見つからなかった。HALの異常を疑ったボーマンとプールは、その思考部を停止させることを決める。しかし、ふたりの密談を読唇して察知したHALが、それを阻止しようと乗組員の殺害を決行する。プールは船外活動中にポッドに衝突されて宇宙服を壊され、人工冬眠中の3人は生命維持装置を切られてしまう。別のポッドに飛び乗ってプールの救助に向かったボーマンは、遺体を回収して戻るが、HALに入船を拒絶され、止む無くプールの遺体を放し、ポッドのハッチを爆破してエアロックに突入する。
唯一生き残った乗員となったボーマン船長は、HALの思考部を停止させるべく、ユニットを取り外していく。HALは助命嘆願を繰り返すが、次第に知能を失い、遂には「デイジー」の歌を歌い始め、録音テープが失速するようにして止まる。すると、木星到着後に搭乗員全員に開示される動画が再生され、探査の真の目的であるモノリスの件をフロイド博士が語る。

木星 そして無限の宇宙の彼方へ(JUPITER AND BEYOND THE INFINITE)
ディスカヴァリー号が木星の衛星軌道付近に到達すると、ボーマンは近くに浮かぶ巨大モノリスを発見する。ポッドに乗って接近して行くと、巨大モノリスは漆黒の闇に消え、そのあたりの空間から発した光の奔流がポッドを呑み込み、めくるめく異次元の光景が次から次へと押し寄せて来る。
やがて、閉鎖された王朝風の白い部屋にポッドごと到着すると、そこでボーマンは、年老いて行く自分自身を順々に発見する。遂には老衰してベッドに横たわるボーマンの前に、あのモノリスが現れ、彼がそれに向かって手を差し伸べると、光に包まれた胎児に変貌する。ボーマンは、人類を超越した存在=スター・チャイルドへと進化を遂げたのだ。
そして胎児は太陽系へと戻り、地球を見下ろしながら、これから自分が成すべきことについて思いを巡らせるのだった。(ウィキペディア)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2022年1月19日
読了日 : 2022年1月18日
本棚登録日 : 2022年1月18日

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