人と人にあらざる者の情交を描いた短編集。
情交を描いた~と裏表紙の説明にはありますが、どちらかというと大人向け童話や幻想文学のような不思議な世界観。
描いている内容もエロティック、もしくはグロテスク、あるいはインモラルでありつつも、あまり「生」の香りがせず、語り手の激しい情動もない。極めて静かで淡々とした作風です。
そんな作風と内容の落差が、「人ならざる者」は人間に近いけど決して同じものではない、理解しあえるものではないという部分を強調しているように感じます。
私は泉鏡花や小川未明の作品に似た雰囲気を感じました。
夢の中にいるような、茫洋とした美しい小説です。
私は「荒神」と最後の「海馬」が好きでした。
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感想中に出した作家さんのこちらの小説も、この本が好きなら好きではないかと思います。どちらも青空文庫で読めますので是非。
『高野聖』泉鏡花
『赤いろうそくと人魚』小川未明
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短編集
- 感想投稿日 : 2022年11月10日
- 読了日 : 2022年11月10日
- 本棚登録日 : 2022年11月10日
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