悪魔の涎/追い求める男: 他八篇 (岩波文庫 赤 790-1)

  • 岩波書店 (1992年7月16日発売)
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本棚登録 : 1023
感想 : 83
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コルタサルの短篇では「遠い女」のように、幻想が現実を侵食していくもの、いつの間にか視点が移り変わっていくものなど、ちょっとぞわっとさせられるところが好き。
本短篇集では、「夜、あおむけにされて」「悪魔の涎」「正午の島」あたりが好み。

「続いている公園」
どこかで似たような話を読んだなと思ったら、エリック・マコーマックの「フーガ」(『隠し部屋を査察して』)だった。コルタサルのこちらが本家。

「パリにいる若い女性に宛てた手紙」
読んでいるこちらの喉までムズムズしてきそう。

「悪魔の涎」
傍観者として、街角で見かけたドラマチックな光景を写真に収めた男。
壁に飾ったその写真、一瞬を切り取ったはずの写真が独自の時間を刻みだす。写真が窓のよう。観る者から見られるものへ。

「南部高速道路」
とてつもなくヘンな話なのに、最後に味わう寂しさったら。

「正午の島」
一瞬の間に見た幸福な幻影、なのだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外の小説
感想投稿日 : 2011年10月24日
読了日 : 2011年8月23日
本棚登録日 : 2011年8月28日

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