コルタサルの短篇では「遠い女」のように、幻想が現実を侵食していくもの、いつの間にか視点が移り変わっていくものなど、ちょっとぞわっとさせられるところが好き。
本短篇集では、「夜、あおむけにされて」「悪魔の涎」「正午の島」あたりが好み。
「続いている公園」
どこかで似たような話を読んだなと思ったら、エリック・マコーマックの「フーガ」(『隠し部屋を査察して』)だった。コルタサルのこちらが本家。
「パリにいる若い女性に宛てた手紙」
読んでいるこちらの喉までムズムズしてきそう。
「悪魔の涎」
傍観者として、街角で見かけたドラマチックな光景を写真に収めた男。
壁に飾ったその写真、一瞬を切り取ったはずの写真が独自の時間を刻みだす。写真が窓のよう。観る者から見られるものへ。
「南部高速道路」
とてつもなくヘンな話なのに、最後に味わう寂しさったら。
「正午の島」
一瞬の間に見た幸福な幻影、なのだと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外の小説
- 感想投稿日 : 2011年10月24日
- 読了日 : 2011年8月23日
- 本棚登録日 : 2011年8月28日
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