一見怪奇な事件に思えるけれど、それなりの理屈を付ければきちんと解決のできる、しかしやはり奇妙な読み心地の物語を集めた短篇集。どれもが奇妙で不気味で、そして魅力的です。
お気に入りは「椰子の実」。シンガポールで起こった奇妙な事件の物語。ミステリとして考えられそうだけれどまったくもってどういうことなのか、と思いきや、真相がわかってみると案外と単純で納得なんだよなあ。しかしただただ不運というか、やりきれない哀切さも印象的です。
「有喜世新聞の話」も面白いなあ。入り組んだ男女の関係から発生してしまった事件の真相。それははっきりと解き明かされないままに終わるものの、だからこそ印象的な気がしました。
「剣魚」「蛔虫」も面白いのだけれど……タイトルで真相がわかっちゃうのは微妙かな(苦笑)。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ
- 感想投稿日 : 2022年2月14日
- 読了日 : 2022年2月14日
- 本棚登録日 : 2022年2月14日
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