斑鳩王の慟哭 (中公文庫 く 7-22)

著者 :
  • 中央公論新社 (1998年9月1日発売)
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本棚登録 : 103
感想 : 13
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これは斑鳩に移り住んだ晩年の厩戸皇子(聖徳太子)とその息子(山背大兄皇子)を中心に上宮王家の滅亡までを描いた歴史小説です。
聖徳太子は以前から好きで他にも何冊か本を読んだことがありますが、それまでの超人・聖人なイメージとはかけ離れたこんなに普通に迷ったり悩んだりする人間らしい厩戸像は初めてで新鮮でした。
また、あとがきに書かれていましたが、作者は平成4年に公表された欽明天皇を葬った古墳の石室内の写真をヒントにこの小説を書き上げたそうで、ひとつの新しい事実に対してこれだけのことを想像できるとはさすがです。というか、私は、推古朝の政治は厩戸と馬子が中心に行われていたと習ってきましたが、実は推古女帝は圧倒的な権力者として二人の上に君臨していた、という事実は衝撃的でした!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2012年3月22日
読了日 : 2007年10月3日
本棚登録日 : 2012年3月22日

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