あの日にドライブ (光文社文庫 お 37-3)

著者 :
  • 光文社 (2009年4月20日発売)
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感想 : 190
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夫の友人からお借りしました。

銀行員として順調に出世していたはずが、小さな失敗から会社を退職し、現在はタクシードライバーとして働いている中年男性のお話でした。

彼は、今まで人生の分岐点に立った時のすべての岐路で誤った選択をしたと思い始めます。
夢を追いかけて出版社に就職していたら・・・今の妻ではなく、昔の彼女と結婚していたら・・・銀行であの時上司にあんなことを言わなければ・・・
たらればの世界にどっぷり浸かり、過去にしがみついた女々しい姿がうっとおしくて、基本的に主人公の成長物語が好きな私はイライラしっぱなし。

ただ、人生には何度か岐路があり、あの日に戻れたら、と想像することは誰にでもあると思います。
そういう意味では読者の共感を呼ぶのかな。
うっとおしいといいながら、私もたらればを想像することはありますしね。
でも、ふと思ったのは、過去にこだわりすぎることは愚かだし、たらればの世界はないし、身近なものが大切だと気が付いたときに急に世界は変わるものだという事は女性の方が知っているのかもしれません。
この主人公もエンディングではそれに気が付き、前を向くことができたのでほっとしました。
サラリーマンのおじさんて、会社という狭い世界だけで生きているから息苦しいんでしょうね。
女性の方が、働いたり子育てしたりでいろんな世界を持っていて、しかも夫次第で生活が変わることを覚悟して結婚しているから割り切りも折り合いも、頑張りどころも柔軟に対応できるんです。
今の自分は自分自身が選択し続けた結果ですよ、(なんか上から目線だけど・笑)世の中のおじさん達、それに気づいて頑張って!と言いたい気分になりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: お仕事
感想投稿日 : 2019年3月7日
読了日 : 2019年3月30日
本棚登録日 : 2019年3月7日

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