旅猫リポート

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年11月15日発売)
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感想 : 1489
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野良猫だったナナを保護して5年間暮らした後に事情で手放すことになり貰い手を探し友人宅を訪ねる話なんですが猫好きならば、手放すって言葉聞いただけで号泣必須なのでもうこれは作者の確信犯的号泣作品だと感じてしまいました。
♪飾りじゃないのよ涙は フッフ~
って中森明菜なら強がったかもしれない。
1人暮らしの悟が愛猫を手放す理由など天地が裂ける程のことしか考えられないわけでしかも5年間も一緒にいたとなると猫時間では20年一緒に過ごしたことになるのだから耐え難い別けれのはず。
小学校、中学校、高校時代に知り合った友たちを訪ね語られるエピソードはナナに聞かせてるようで益々離れずらくなる。悟の境遇は周りからみれば不幸の塊のようにみえるのですが本人は少しもそれを感じていないし感謝している。いるんですよねたまにこうゆう人、自分の痛みには鈍感で神経ないのかって思えるのに、人の痛みはビシバシ感じちゃう人って、どんなけんいい人なんだって思うとここでも涙が溢れる訳で作者のコズルさを感じてしまう。
だから私は必死にこらえて読んだんです。できるだけたあいもないことに目を向けて。銀色のワゴンとか、海や山、初めて乗ったフェリーとか、雨の境にかかった虹とか、真っ赤なナナカマドの実とか...。
後首を摘まんで持ち上げて、後ろ足をたたんでファイティングポーズをとる猫はネズミを捕る猫だって知らなかったけど、ナナがそういってるんだから信憑性ありそうですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2023年12月21日
読了日 : 2023年12月21日
本棚登録日 : 2023年12月21日

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